3.結城紬について   
  某ネットショップの掲示板で、以下のような書きこみがありました。
『結城紬って種類が多くてわかりません。重要無形文化財というのはわかるのですが、 無形文化財の結城(縮ですか?)とか、本場真綿絢結城紬はどのようなもので、手触りとか織の組織のちがいはどういう違いがあるのか、ご存知の方教えてください。どうぞよろしくお願いします。』
 この書きこみを見て、僕が思ったことは
「また、産地か問屋はんが好き勝手な事を言って、自分たちの商品の差別化を図っているんだな。」
だったのですが、さて、僕もどういう違いがあるのか知りたくなりました。ゆうきくん、教えてくれませんか? この三つの結城紬の違いを解説してください。
1. 重要無形文化財 2. 無形文化財 3. 本場真綿絢結城紬 よろしくお願いします。

  結城紬は最高級の紬であることはご存知でしょう。なぜ最高級なのかといえば次のようです。
  結城紬は縦糸横糸ともに紬糸で織られています。その結城紬に使われる紬糸は良質の繭から紡ぎ出されます。紬は製糸技術が発達した後は生糸にならない屑繭や玉繭などを使ったいわば廃物利用といった面もありました。しかし、結城紬に使われる繭は上質の繭でそれを手で紡いでいるのです。一般に紬は機械で紡いだ糸を使う場合が多いようです。
  そしていざり機と呼ばれる打ち込みの強い織機で織られます。次のような例えはどうでしょう。
  最高のステーキ用の松阪牛をミンチして作ったハンバーグです。すじ肉や混ぜ物をしたハンバーグと比べてみてください。それも最高のシェフの手にかかったハンバーグです。
  結城紬は昭和31年に重要無形文化財に指定されました。それ以来その品質を保持する為に結城紬技術保存会が検査を行い検査を通ったものに重要無形文化財の証紙が貼られています。割り印されたこの証紙が貼られたものを本場結城とも言っています。
  この証紙は公的なもので十分に信用できるものです。しかし、最近違った動きが感じられます。昨年結城の産地問屋が来て本場結城紬(らしき商品)このように言っていました。
  「これは証紙は貼ってありませんが、本場結城と同じ物です。価格は半分程度です。本物の結城をもつと普及させたいんです。」
  ここからは、ゆうきくんの想像です。
  品質を保持する為の証紙を貼る為に相当のコストがかかるのではないか。そして、ぎりぎりで検査から外れた商品歩留まりを考えた価格の上乗せ。さらに証紙の権威を傘にきた小売上代の吊り上げなど。 日本の社会では権威が一人歩きして、その利権に預かろうとする輩が群がり次第にコスト高になるというのは良くあることです。
  生産者から見て妥当な小売上代で消費者に渡し、結城紬の再興を図ろうとする動きにも思えました。 重要無形文化財の証紙以外は商標や商品名なのでそれほど権威あるものとは思えません。商品名には重要な情報を含んでいるとはいえ私的なものですから、それらの名前を比べて云々するこはクラウンとセドリックはどちらが良いかという議論に似ているでしょう。
  どちらにしても商標や商品名、作者そのたあらゆる権威を排除して、目の前にある商品が自分にとってそれだけの価値あるものなのかを判断してもらえたらと思います。そうすれば呉服業界も正常に戻ってくるはずですから。
  「無形文化財」だけの証紙は分かりません。「本場真綿絢結城紬」というのも商標の類だと思います。私は名前には余りこだわっていませんので。

 目からウロコとは、このことですね。
  僕はいまでも結城は屑繭を使っているのだとばかり思っていました。 絹糸にならない、つまり機械にかけて糸にできないものをぐちゃぐちゃの真綿状態にして(玉繭や蛾が出てしまって穴があいた繭を湯のなかで手を使って揉みほぐして)手で紡いでいるものとばかり思っていました。
  でもね、おかしいなとも思っていたんですよ。結城紬に需要があったときに、それほど屑繭という原料が供給できたのだろうかと疑問に思っていました。 物の本によると、全生産量の二割程度が屑繭であると、記述があったように覚えています。あいにく、その記述はどこに書いてあったかを忘れてしまいましたが。  
  なるほどね、今の結城紬は最高品質の絹糸にできる繭をわざわざ手でもみほぐして手紡ぎ糸にしていましたか。なるほどなるほど。
  ところで、関連質問なのですが、大島紬の糸は、あれはどのような糸なのでしょうか?物の本によりますと、昔は手紡ぎ糸で織っていたということらしいのですが、需要が増加するにつれて、明治28年ごろには玉糸遣いに、その後本絹遣いになったという記述がありました。大島紬の産地のHPを見ても、織り糸に関する記述は皆無です。これは、推測するに、大島紬にとっては、あまり触れたくない事実なのだろうなと思いました。
  たぶん、大島紬は結城紬を意識していると思うのです。そして、両者の大きな差は糸にあると思います。「ハギレは語る」で大島紬の織り組織をほぐしたときに出てきた糸は、見事な美しい絹糸でした。それが、全てを語っているのではないかと思います。

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