19.大人のぽっくり   

 お聞きしたい事が、出来ました。
 とある着物関係の、談話室の話題です。30代後半の方が近所の呉服屋で、振袖用に作ったとの木目のぽっくりを履きたいのだがどうでしょう、という書き込みでした。
  履物サイトには、大人用のぽっくりが売られ、年齢制限が無いとのお話もありました。
  私はぽっくりは、子供の履物とばかり思っていました。確かに舞妓さんや半玉さんは、ぽっくりを履きます。それは肩上げの着物を着たり、桃割れに結うのと同様で、建前はあくまで子供(15歳以下は就労出来ないので)と言う事での話と思っていました。
  振袖用のぽっくりにも驚きましたが、今の時代そんなものかと…。(花嫁用もあるそうですが)
  しかし、年齢制限が無いというのには、本当なのかと信じられないのです。
  古い感覚の持ち主らしいとは自覚してはいますし、もしかするとこの点もずれているのかと、30代の方がぽっくりを履けるのか、何人かの方のお話を伺いました。 同様なお考えでしたが、ゆうきくんのお考えを是非、お聞きかせ下さい。よろしくお願い致します。

 ぽっくりについてはよく分かりません・・・ので、浅草の下駄屋さんが来たので聞いてみました。
  ぽっくりが子供や未婚者の履物という不文律は無いそうです。それでも昔から主に若い人の履物として使われていました。
  七五三用には蒔絵を施したぽっくり。舞妓さんや若い人が履くぽっくりは生地や黒塗り無地に畳を貼ったものが多かったようです。 年配の方が履くぽっくりはもちろん無地で高さも低かったといいます。 しかし、最近は年配の方でも蒔絵を施したり、高さも高いぽっくりの注文があるそうです。
  以上のような下駄屋さんの話から私は次のように推察します。
  ぽっくりは機能的には履きにくいもので「カッポ、カッポ」という音を楽しむなど伊達者の履物です。そういう意味で昔から年配者が履くことは少なかったのだろうと思います。そして、ぽっくりの高さは、きものの袖丈のように年齢が低いほど高いものを履いたのではないかと思います。
  年配のしゃれ者が低い無地のぽっくりを履いていた様は絵になるような気がします。 しかし、最近はきものを着る人の中に「めだちたがりや」がいるもので、昔は子供や若い人が履いたようなぽっくりを履く人がいるのだと。
  以上、私の推察です。参考になれば・・・。 どこの世界でも掘り下げればいろいろなことがあるものですね。

 ありがとうございます。ゆうきくんは呉服屋さんで、履物はご専門ではありませんでしたのに、気がつきませんでお手数をお掛けしました。
  昨年あるチェーン店で、成人式用の黒塗りぽっくりを、見かけてはいましたが。
  子供の頃は普段にごく普通の下駄を、着物(病気の時など着ました)も夏は洋服の時も大人子供関係なく、履いていました。七五三・お正月などの「よそゆき」にはぽっくりを履きましたが、嬉しくても実に不安定で履きにくい。 しかし大人用のぽっくりは、お店にも実際に履いているのも、見た事は無かったのです。
  成人式のぽっくりならまだ、「可愛いから、まぁね…」と思えるかも知れません。しかし30代過ぎの大人の女性が、あの高いぽっくり(話題ではそうだと思えました)を履いているのを見かけたなら、正直とても奇異に見えてしまうと思います、いかに子供・未婚限定の不文律が無いといわれても…。
 少々言葉が足りなかったかもしれません。「子供、未婚限定の不文律は無い」というのは「きまりはない」ということですが、実際に大人が履いているのは極少なく、低いものだったそうです。
  「決まりが無い」という意味では、振袖の着られる年齢にも同じことが言えるかもしれません。「きまりがない」イコール「何をしても良い」ではないところに、きものの(日本の文化の)難しさがあるように思えます。
  「きまりがない」イコール「何をしてもよい」と解する人たちが増えないように期待したいと思います。
 「きまりがない」イコール「何をしても良い」ではないところにきものの(日本の文化の)難しさがあるように思えます。 ゆうきくん、この書き込みでほっとしています。
  そうです、当たり前と思っていた事を、どうして?と聞かれ、答え難いのもそこにあります。最近、当たり前だと思っていた事が、そう思われなくなって来ているのかと(自分が時代に置いていかれたかと)、少々がっくりしてしまう事ばかりです。

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