117.「本場結城紬」とは
 本場結城紬について、お教えください。
  本場と聞くと、重要無形文化財指定のものだと思って いたのですが、それ以外の結城紬でも一般的に、 「本場結城紬」と呼んでいるのでしょうか。
  以前から気になっている事がありまして、お手数を お掛けして申し訳ありませんが、よろしくお願い致し ます。

 きものの名称については曖昧で、はっきりとした定義がないと言った方が良いようです。
 「本場結城紬」については、おっしゃる通り、私も重要無形文化財を「本場」と呼んでいます。ただし、これは私と私の取引する商社との間のことなので、定義という訳ではありません。
 結城紬と言えば、広い意味では結城地方で織られる紬と解釈できます。石毛地方で織られている石毛結城も含めて、必ずしも経緯手紡ぎの真綿糸ではない物も含まれるでしょう。その中にあって「本場」と呼ばれる物は何か、ということになりますが、慣習的には上記のように使っている人は多いと思います。
  しかし、最近(昔は無かったように思えます)次のような証紙が使われています。
 従来からあった「重要無形文化財」の証紙の他に「本場結城紬検査之証」「本場結城縮織之証」の証紙が本場結城紬検査協同組合から発行されています。 「本場結城紬検査之証」は糸は重要無形文化財と同じですが、高機(いざり機ではなく)で織ったものです。絣は対象外で、縞、格子、無地にのみ認定されているようです。
「本場結城縮織之証」は文化財と同じ方法で織られますが、地糸に撚りのかかった縮み糸が使われています。  これらの証紙は、「重要無形文化財」の証紙を発行している結城紬技術保存会ではなく、本場結城紬検査協同組合で発行しているもので、デザインもほとんど同じです。検査証もほとんど同じですので紛らわしいのですが、証紙をどのように評価するかは消費者に任されているようです。
 証紙に「本場」の文字が入るとそれが定義のようになってしまいますがどうなのでしょうか。「本場」の意味するところをどこまで拡大して使うかも任されているようです。
 私は昔ながらの製法(手紬真綿糸、手くびり絣、いざり機)で織られたものが「本場結城紬」だと思っています。最近はコストが掛かるために昔ながらの製法で織られても証紙を貰わないで流通させている結城紬もあるようです。
  私はそう言った紬には次のように説明したいと思っています。 「これは文化財の証紙はありませんが、本場の結城紬です。」と。

 ご丁寧に、ありがとうございます。
  以前オークションに、本場結城紬と書いてある証紙 (商標?)を貼った着物がありました。 重要無形文化財指定の証紙ではありませんでしたから、 では、本場結城紬としてある以上は、本場結城紬と 名乗れるものなのかしら?と、その時に疑問に思い ました。
  ですが、「本場結城紬」といえば緑色の、糸を紡ぐ 女性の描かれた証紙等の他、「重要無形文化財本場 結城紬検査之証」並びに、指定ではないけれど「本場 結城紬検査之証」・「本場結城縮織之証」の貼られた 結城紬の事を、そう呼んで欲しいと思っていました。
  先日あるお店のチラシ広告に、本場大島と本場結城紬と 載っていたのですが、大島は本場でしたが結城紬は… 紬マークのものしか見当たらず…お店によっては違う お考えなのかとも、感じましたが…。
  しかし、買う気も無いのにお尋ねするのもと遠慮しま したので、もしかしたら表に無かっただけで、お聞き してみれば、別に置いてあったのかもしれません。 お返事をいただき、胸のつかえが取れました。
  証紙の有無にかかわらず、手くびりの真綿糸を使い、 手染め・イザリ機(高機)の結城紬…あの軽くて独特の 手触りの結城紬だけが、「本場結城紬」と呼ぶものだと 改めて思う事が出来ます。 お手数をお掛けしました。本当に、ありがとうござい ました。

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