139.黒い帯と着物の将来
 きもの春秋「若者ときもの」を読みました。
  私も着物をファッション感覚で選んでいるため、リサイクルで葬儀用の真っ黒な帯を購入してしまいました。 黒い帯に色のある帯締め・帯揚げをしてはいけないのですか。 まぁ、ダメだとしても、私は着てしまうかもしれません。
  男性の着物も帯も女性がしてもいいと思います。 おはしょりが無くてラクですし(苦笑。 和服に新しい着方が認められない限り、着る人は少ない・・・だからもっと自由に着物を着られるようになればと思います。
  しかし、新しい着方をすれば「あの子は常識を知らない」とか変な目で見られるのは正直イヤです・・・ その辺が難しいなぁ、と思います。

 誤解を恐れずに申し上げます。きものにルールはありません。何を着ていけないと言うこ とはないのです。
「黒い帯に色のある帯締め帯揚げをしてはいけないのですか。」
と私に聞かれても私には答えられません。私は教祖でもなければ家元でもないからです。 きものには教祖も家元もおりません。あるのは長年日本と言う文化の中で培ってきた慣習的なルールだけなのです。
  慣習的なルールを知ることが玲さんのおっしゃる「常識を知る」 ということになるのでしょう。 慣習的なルールは普遍ではありません 時代とともに変わって行くものです。
  近世と今日のきもののルールは同じではありません。 長い時間を掛けて徐々に変化してきたものです。その変化は時には権力者に、時には大衆 が先導して熟成してきたものです。
 今日のきものがこの先どのように変化していくのか。それは日本人皆が考え創ってゆく ものだと思います。とりわけこれからの時代を担う若い人達がきものの将来を左右するこ とになるのでしょう。
  私はきもののあり方着方について保守的に固執しているわけではありません。日本人が 自分たちの民族衣装であるきものを建設的に発展変化させることを願っています。しかし、 文化の発展は思いつきで興るものではなく、過去の文化を踏まえた発展でなければならな いと考えています。つまり、きものとはどんなものか、どういう風に着られてきたものか を十分に理解したうえでの変化でなければなりません。
「葬儀用の黒の帯を普段のおしゃれとして締める事」 →従来の常識では否定されます。
「葬儀用の黒の帯に色物の帯締め帯揚げ」 →従来の常識ではありえません。
  それらの従来の慣習の持つ意味を十分に理解した上で、
「それでも、これからは葬儀用の黒の帯もステキだから、おしゃれ用として締めたい。 色物の帯締め帯揚げを合わせたい。」
と、お考えでしたら、それもこれからのきものの一つの提案と言えるでしょう。 きものに限らず、人類が長い歴史の中で培ってきた文化を十分に理解せずに向き合うこ とは、かえって文化の破壊につながることもあります。
  朝鮮で埋葬に使う骨壷を骨董品屋で買ってきて梅干を入れていた人がいたと聞いたこと があります。 きものについて良く理解して、これからのきものを創造していただきたいと思います。

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