146.友人の結婚式で大柄の小紋   
 はじめまして、ゆうきくん。
  今度、友人の結婚式に式、披露宴ともに着物で出席したいと思っています。 26歳、既婚の私にちょうどいい訪問着がなかったので、 実家の母(和裁を30年位前まで一生懸命習っていた)と相談し、 クリーム色の地に、金糸でななめに格子状の模様が入り、 所々に5センチ四方位のピンクの蝶々が飛んでいる小紋を選びました。 全体的に、大柄です。
  袖は訪問着と同じ位の長さで、合わせる帯も訪問着に使用する袋帯です。 伊達襟も朱色のものを入れることにしました。 当日は髪も華やかなアップにし、ビーズのバッグを合わせる予定です。 場所は都内の有名老舗ホテルです。
  やっぱり、小紋だと失礼に当たりますか?

 結婚式に着るきものについては良く相談されます。
 何を着たらよいのかを考えるときにはまず自分がどのような立場で出席するのか、ということを考えてください。  結婚式に出席する人は立場が様々で、その立場に応じたきものを選ばなければなりません。新郎新婦の母や親族、雌仲人さんは黒留袖を着ますが、招かれる人は黒留袖を着ません、という風に。
  よっしーさんの場合は「友人の結婚式、披露宴」ということですので、招かれる立場です。一般に、招かれる方は訪問着や紋の付いた着物ということになっていますが、必ずしもそれに限りません。
  招かれる人は「主賓席に座る人」「新郎新婦の上司や恩師として上席に座り、乾杯前のスピーチをする人」から「先輩」「友人」「後輩」また「近所のおばさん」など様々です。
  上席に座り宴席でそれなりの座を与えられた場合はやはり訪問着や紋の付いた付け下げを着るべきでしょう。しかし、友人などやや下座に座る場合でしたらそれに限らないと思いますので、小紋でも構いません。
 しかし、ここで気をつけていただきたいのは次のことです。
  前にも一度このコーナーで説明しましたが、小紋というのは非常に幅の広いきものです。「訪問着」と言えば「訪問着という格」が与えられます。「黒留袖」と言えば言わずもがなです。しかし、小紋は普段着の小紋から、付け下げの一歩手前の格を持つ小紋(すなわち結婚式にも着れる小紋)まであります。
  ですから、「小紋で結婚式に出られます」と云ってもどんな小紋でも良いわけではありません。
  ではどんな小紋なら良いのかと言えば、紙面で説明するのは難しいのですが、例えば「更紗」や「藍染」は普段着とされています。生地は、シボの高い鬼縮緬よりも一越縮緬、綸子の方が良いでしょう。誤解を恐れずに言えば、「すばらしいなー、豪華だなー」と思える小紋でしたら構いません。(ちょっと稚拙な表現でした)
  よっしーさんのきものの柄、色を書いていただきましたが見なければ判断できません。
 抽象的な表現ですが、以上のような事を勘案して判断してください。そして、次のような事も心の中に納めて置いてください。
 きもののしきたりは厳格なようで厳格ですが、実は定まったルールがないということです。
  しきたりは慣習によるもので、それは地域や家によっても違いますし、時事刻々変わって行きます。
  私に限らず、誰かが言ったしきたりは厳格に守らなければならないものではないのです。しきたりを厳格に守ろうと頭を悩ませ、挙句の果てに洋服を着ていった、とい話はそう珍しくありません。
  一番考えなくてはならないのは、よっしーさんが着る着物によっしーさんの友人の結婚に対する祝福の気持ちが込められているか否かです。気持ちが込められていれば、自然にきもののしきたりは守られます。
  古来そうして築き上げたきもののしきたりなのですから。

 早々のお返事ありがとうございました。
  お返事の内容を読んで、母や夫と相談し、 はじめに決めた小紋で出席することにしました。 後半の『気持ちをこめれば〜』との言葉に決心しました。
  レンタルの訪問着や、母の地味な訪問着も、洋服さえも頭に浮かんだのですが、 私自身の結婚式でたくさんの友人が振袖で来てくれてとてもうれしかったのを、 そして後で出席した別の方に『着物の子がたくさんいて華やかだったね。』と 言われ、またうれしかったことを思い出しました。 着物のチカラってすごい、と改めて感じました。

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