153.夏大島   
 本場夏大島は単衣の季節から盛夏まで着られると聞きましたが、本当でしょうか?
 では、村山大島はどうでしょうか?
  同じく夏結城は単衣の季節から盛夏まで着られるのでしょうか?

 「どのきものが何時の時期に着られるのか?」という質問は良く頂戴します。
  季節感に敏感なきものですから、とりわけ初心者のの方など気になさるようです。 季節と共に着る物を換える、というのは日本の着物ばかりではありません。何処の国でもある程度四季の変化、気温の変化のあるところでは季節に合わせて着るものを換えています。
 日本の場合はとりわけ四季の変化が激しく、それを四季の風情と捉えていますので他の国よりも厳格に決められているようです。季節を暦に置き換え、暦にあわせて着るきものが決められてきました。
  洋服でも日本では「衣替え」と称して学校の制服が一斉に替わったりするのはそういった日本の風習から来ているのでしょうか。外国では「衣替え」という風習はあるのでしょうか。
 話がそれてしまいましたが、日本の着物が暦に合わせて換えるのは昔からの風習です。しかし、この風習は主に礼装に摘要されたもののようです。
 十六世紀のポルトガル人宣教師が次のように書き残しています。
「身分の高い人か同輩の者かを訪問する場合は、常にその季節に用いられる衣服を着て行くのが、たとえ他の衣類の上に着るにしても、よい身だしなみであり、礼儀にかなうとされている。これを下に着ては使い途が誤っている。」
 つまり「正式な場では暑かろうと寒かろうと上に着るものはその季節のきものを着なさい。」ということだと思います。中に着るものは実質的な物を着ていたようです。
 普段着の場合、暑ければ涼しい装いを、寒ければ暖かい装いをするのは自然なことです。そういう意味では季節に縛られず、というよりも季節の先取りや先送りは自然なことと思います。
 私も五月になると暑い日は単衣を着ています。襦袢も麻を着ています。結婚式や葬式があれば前述の事に学んで、単衣のきものに袷の羽織を着ています。(それでも少々暑いですが)
  私の母はいつも着物ですが、今年の六月は特に暑く、半ば頃にはもう夏の紬を着ています。
 夏大島や夏結城は一見して薄物と分かりません。しかし、いくら暑くてもやはり絽や紗、麻などは見た目に夏物と分かりますので六月にははばかったほうが良い様に思えます。
 つい長くなってしまいましたが、「六月に夏物は着てよいか?」という問いには単純に「良いです」「悪いです」というような回答ではないことを覚えていただきたいのです。
「あら、六月は薄物は着ていけないのよ。」
「薄物は七月にはいってからですよ。」
「単衣の時期に夏大島は着てはいけない。(良い)」
といった人達が実は着物を着にくいものにしているのです。
 着物は生きています。一年中きもので通すことができますし、古の人達はそれを行ってきました。そう思えばおのずから回答は出てくるのではないでしょうか。

ありがとうございました。着物が日常から離れてしまったということでもありますね。
特に宣教師の話は納得いたしました。

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