156.結城と石下   
 古着の結城を手に入れたのですが、今持っている結城と何か違うのです、何がと、問われても具体的には分からず,糸を調べると、結城は糸の太い細いがあまりみだれがなく織りを見ると、縦横糸が、きれいに織られていますが、手に入れた物は、太い細いがあるため、織り目が、ぽこぽこ見えます(顕微鏡)手括れが、上手下手もあるでしょうが、同じ亀甲の着物で見比べてみました。柔らかさも、少し硬く思います。プロは結城と、石下や、良い紬、どこが、決定的に違うのか、教えて頂けませんか?飛び込みで済みません。

 本場結城紬(重要無形文化財)と石下結城の違いは、本場結城は経糸緯糸共に真綿の手紡ぎ糸を使っていること、居座り機で織る事、絣は全て手くびりであること等です。 
 視覚的な違いといえば、反物であれば証紙が貼ってありますので素人でも分かります。
 古着の結城をお求められたとの事ですが、仕立ててあるきものを遠目に見て本場結城と石下結城を見分けるのは難しいと思います。石下ではあまり複雑な柄は創られていないようですし、絣の柄は本場は本場らしい柄があるように思えますので、織っておられる職人さんでしたら、見れば本場か石下かを見分けることは出来るかもしれません。しかし、同じ様な柄の本場と石下を並べられたら見分けられないでしょう。
  顕微鏡による鑑定も私はやったことがないので分かりません。居座り機と高機では組織がはっきりと違いますので、専門家であれば顕微鏡で鑑定できるかもしれません。
 私が見分けるとすれば、生地の風合いです。本場結城は湯通しをすると和紙を揉んだ様なとても柔らかい風合いになります。もっとも、この湯通しは「本湯通し」と呼んでいますが、産地で湯通したものです。地方の悉皆屋さんでもする所はあるかもしれませんが、通常の湯通しでは表面のフノリが落ちないのか、かえってこわばってしまう場合があります。私もその経験をしました。完全に湯通しされた本場結城は石下とは全く違います。
 長年着ていれば、本場と石下の違いはわかってくると思いますが、古着を遠目に見て見分けるのは難しいでしょう。加えて、どのくらい古いものか分かりませんが、結城紬に限らず、織物は規格が管理された工業製品ではありませんので、古いものを現在の基準に当てはめても余り意味がないように思えます。本場結城が重要無形文化財に指定されたのは昭和31年のことで、規格はそれ以後に決められていますが、それも時代と共に変わっているようにも思えます。
 私がそれらしい古着を見せられて、判断を求められたら、触って風合いを確かめた上ではっきりと分かるものでなければ、「本場結城だとは思いますが…。」としか云い様がないと思います。

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