186.和裁をやっております   
 はじめまして こんにちは。 私は、和裁の学校を卒業し、今はその学校を運営している会社から仕事をいただいて、自宅で着物を仕立てる仕事をしています。 ですが、毎年一月ころになると仕事が無くなってしまいます。 なんとも不安定です。 和裁士の仕事探しにアドバイスいただければ幸いです。

 和裁の仕事をする人が減っているようにも思えます。がんばってください。
 ご自分で仕事をされて、不安と期待とで複雑なお気持ちだと思います。
 仕事が減り不安な気持ちを抱いておられるのだと思いますが、人生の先輩としてまず一言申し上げます。
 今日のような成熟した社会では、あたかも人生にレールが敷かれていると思っている方も多いようです。社会に出て会社あるいは役所など、職場に出れば毎月給料がもらえます。曲がりなりにも出勤していれば生活に困ることは無い…そう思っている方が多いでしょう。しかし、誰に限らず、人は働かなくては食べては行けません。働くだけでは足りません。稼がなくてはならないのは太古の昔から変わらぬ人の習いです。
  縄文時代の人は、一日に魚を一匹しか釣れなければ、その日は一匹の魚を家族で分けて食べることになります。そんなことは当たり前なのですが、今の世の中はそういう意識がなくなってしまっています。その結果、国や地方公共団体の財政赤字やその他問題が起こっています。
 雪音さんは誰にも頼らずに、和裁という仕事を通して、自分の足で立って生きてゆこうとしています。あるいは、そういう意識は無かったかもしれませんが、今の立場は自分で生きてゆかねばならない立場ですし、それを自覚することは大切なことです。私はそういう人を応援したいと思っています。
 つい、説教めいたことを書いてしまいましたが、常々思っていることが出てしまいました。
 さて、和裁の仕事・・に限らず、仕事は待っていてありつけるものではありません。与えられた仕事をしていれば良い、と言うのは前述した人たちの事で、自分で立って歩こうとしたら、仕事は求めなくては得られません。その学校が運営している会社でも仕事は回してくれるでょうが、充分と言うわけではないでしょう。
  季節によって仕事の増減があるのは私の店でも同じです。仕事を発注する側としては仕事を回せないと言うことがあるのはうなずける話です。
 しかし、呉服の需要が減っているとはいえ、仕立て屋さんが足りないというのも事実です。
 それでも仕立てさえできれば仕事がもらえると言うわけではありません。 最近は中国やベトナムの仕立ても出回っています。価格だけを比べたら到底比べ物にならないでしょう。価格の安さに引かれて中国やベトナムの仕立てに走る呉服屋さんもあるようですが、まだまだ仕立ての需要はあります。安心していただきたいと思います。
 さて、安心してくださいと言ってしまいましたが、仕立てはやはり腕の勝負です。まず腕を磨いてください。
 私の店の場合、仕立て屋さんをもっと欲しい思っています。時期によって仕立て屋さんが足りないということもありますし、今の仕立て屋さんが年を採った後の事も考えています。どこも呉服屋でも今後期待できる若い仕立て屋さんを探していると思います。
  それで、まず足で仕事を探してください。ここぞという呉服屋に飛び込んでみてください。わりと簡単に採用してくれるかも知れません。私の店では5〜6人の仕立て屋さんにお願いしていますが、ここ十年の間に二人の仕立て屋さんを採用しました。二人と言えば少ないように思えるかも知れませんが、飛び込みでやってきたのが二人だけなのです。つまり採用率100%です。
  一人は若い仕立て屋さんでした。結婚のため今は仕立てをお願いしていませんが、その方は飛び込みでやってきたときに、自分が仕立てたきものを持ってきました。その仕事を見て採用しました。もう一人は年配の方でした。
 呉服屋にとって腕の良い仕立て屋は口を開けて待っています。腕に自信があれば呉服屋さんに飛び込んでみてください。
 もしも呉服屋さんで仕事が得られても、初めから良い仕事は回してはもらえないと思ってください。私の店でも、初めての仕立て屋さんには訪問着や振袖などは出せません。浴衣やウールなど、いわば簡単な仕事です。それは覚悟してください。呉服屋としては仕立てが命ですのでその仕立て屋さんの腕が分かるまでは良い物はまわしませんが、それは我慢しなくてはならないでしょう。
  呉服屋が本当にその仕立て屋さんの腕を信じれば、いくら仕立物が少ない時期でも、その仕立て屋さんに優先的に仕事を回すでしょう。
 職人の世界では下積みの生活が長いと聞きます。是非腕を磨いてください。腕がよければ、そして仕事を探す気があれば仕事はいくらでもあると思います。 がんばってください。若い仕立て屋さんに期待することは大です。ついいろいろと書いてしまいました。いくらかでも参考になれば幸いです。

 ありがとうございます。 お答えを頂いてから、 この仕事のこと この仕事をしようと思ったときのこと この仕事への気持ち 着物への気持ち 学校での4年間のこと 自分の技術 現実的な出費のこと いろいろなことを考えております。 答えはでていません。 いつか結城屋さんに仕立て屋としてお伺いすることがあるかもしれません。 その時に認めていただけるよう今はただ日々精進したいと思います。 ありがとうございました。

|戻る|