28.染帯について教えてください   
 初めてまして、ひまわりといいます。
  「わからないことは何でもゆうきくんに きいてみよう」ということなので、 遠慮なく質問したいと思います。
  先日、染帯だと思って購入しようとした帯のことなんです。 その帯は私が見た感じでは柄が染めて あるようには思えないものでした。
  塩瀬(?)か何かの生地に柄が描かれて いた帯だったのですが、柄の描かれている 部分の手触りが柄が描かれてない部分の 手触りと比べて固かったのです。 どう言ったらいいのか、こう絵の具(顔料?) でかかれているような感じなのです。
  実際何で描かれているのかはわかりませんが、 たとえば顔料のようなもので柄がかかれている ような帯でも生地が染めてある帯であれば、 染帯の範疇に入るのでしょうか? 教えてください。 柄がにじんだりしそう何だけど…。

 呉服の名称は色々な範疇の名称を使いますので大変複雑で分かりにくいのです。  
  呉服(きもの、帯を問わず)は大きく分類すると織物と染物に分かれます。 織物というのは糸の段階で染色されたもので「先染め」とも言っています。 染物は白生地にした後に染められるもので「後染め」と呼んでいます。
  帯にももちろん「先染め」と「後染め」があります。あとから染めたものが染帯です。  
  帯のもう一つの分類に形式による「丸帯」「袋帯」「名古屋帯」というのがあります。従って「染の丸帯」「染の袋帯」「染めの名古屋帯」という名称もあるわけです。
  「染の丸帯」は昔はありましたが現在はほとんど作られていません。「染の袋帯」は極少ないですが作家さんにより作られています。(荒井照太郎氏など)しかし、袋帯の99%は織物です。
  名古屋帯はさらに九寸名古屋帯と八寸名古屋帯に別れます。九寸は裏に芯を張って仕立てるもので、八寸は芯を使わずかがるだけの仕立てです。染帯のほとんどはこの九寸名古屋帯です。  
  染帯に使われる生地は塩瀬、縮緬などの柔らかい生地が多く、芯を張らなければ帯として使えないからでしょう。八寸の染帯というのは余り聞きませんが、しな布の帯などがあります。  
  ご質問の顔料で染められたような帯と言うのは立派な染帯です。染帯という名称は前述の如く、先染めか後染めかという分類ですので、後染めの帯は全て染帯です。ですから染め帯と一口に言っても様々な染め帯があります。染の袋帯の中には訪問着にもしめられるな格の高い物もあります。また塩瀬と縮緬では格が違います。  
  染め帯には染料も顔料も使われます。琉球本紅型などは顔料が使われています。水でもかければ色がにじむと言うことはあるかもしれません。しかし、私は実験したこともありませんので確定的なことは言えません。
  どちらにしても、きものは大切に扱わなくてはなりませんので、通常気をつけている分には柄が滲んだりすることはないと思います。  
  尚、帯の種類、染帯については、ゆうきくんのホームページ「きもの博物館」の「九寸織名古屋帯」「染帯」を参照してください。http://www.ykya.co.jp/ykh/toppage.htm

 丁寧なお答えありがとうございます。
  返事を書くだけでも大変な労力がいることと思います。 重ねてありがとうございます。 博物館にもいってきました。
 
私の理解では染帯は色無地までしか締められないものでしたが、 訪問着にも締められるようなものもあるにはあるんですね。 ところで、塩瀬と縮緬では格が違うということですが、 どう違うのですか? 季節的に塩瀬地が向くとか縮緬地が向くというのはあるのかもと思っていたのですが、 塩瀬地と縮緬地の格の違いは知りませんでした。 ちなみに塩瀬地と縮緬地が実際どう違うのかも知りませんが。 着物類には一越縮緬だとか変わり無地だとか古代縮緬だとか綸子とか繻子とか羽二重 とか緞子とか生地の名前がたくさんあってそれぞれ違いがあるのでしょうが 初心者にはなかなかわかりにくいですね。
  うそか本当か知りませんが「紅型は太陽の下だともっと色がきれいに見える」と 沖縄へツアーで行ったときに紅型らしき小物を売っているお店の人がいっていました。 それは顔料を使っているからなのかも知れませんね。
  それも真偽の程はわかりませんが。 私は着物を着る機会は年に数回しかありませんが、袋帯よりも名古屋帯を素敵に締めることができるようになりたいと思っています。 またわからないことがあったら質問したいと思います。 そのときもどうぞよろしくお願いします。

 呉服用語は曖昧なので、言葉を吟味してお答えします。(きもの春秋『曖昧なきもの用語』参照http://www.ykya.co.jp/ksj/ksjtale/1.htm)  
  塩瀬の染帯と縮緬の染帯とでは塩瀬の方が格が高くなります。  
  塩瀬というのは塩瀬羽二重のことで地の厚い羽二重地です。縮緬と言うのはこの場合、鬼縮緬をさしています。縮緬は撚りをかけた糸で織った生地で一越や変り無地、綸子も縮緬です。しかし、狭い意味では「縮緬」はシボの高い鬼縮緬をさします。縮緬の染帯とはシボの高い鬼縮緬のことです。  
  では実際にそれぞれどんなきものに締められるかといいますと、塩瀬は紬から色無地まで(まれに付下や訪問着にもできるようなものもありますが)しめられます。
  一方、縮緬(鬼縮緬の染帯)は紬からおしゃれ小紋まででしょう。  
  小紋というのは真に範囲が広く、付下一歩手前の格のあるものから、普段着の小紋まであるので難しい着物だといえます。縮緬の染帯を締められのは格の低い小紋です。  
  きものや帯の格付けというのはいろいろな要素によって決まります。その要素の一つとして次のような事が判断材料として考えられると思います。  
「フォーマルは光沢があり、すべすべしているもの。カジュアルは表面がざらざらしていて粗いもの。」  
  おかしな言い方かも知れませんが、私はそのような判断が有るように思えます。綸子は光沢があってよりフォーマルです。紬はざらついていてカジュアルです。金箔銀箔はフォーマルです。そういう目で見ていただければ分かりますが、塩瀬は光沢があり、鬼縮緬はシボが高くざらついています。それが全てではありませんが、そんな説明ではいかがでしょう。  
  紅型については意外と知られていません。沖縄で城間家や知念家によって伝えられている、いわゆる琉球本紅型染が本当の紅型染ですが、一般に紅型染といわれているもののほとんどは内地(京都や東京)で染められているものです。内地の紅型は顔料ではなく染料が使われ、染め方もまるで違います。(きもの博物館『琉球本紅型』参照http://www.ykya.co.jp/ykh/ykhtale/12bingata.htm)
  沖縄のみやげ物屋で売っているハンカチやその他の物のほとんどは紅型風に染めたもので本紅型ではありません。しかし、そのお店の人の言うことは十分にうなずけます。その土地のものはその土地で初めて良さがわかるのでしょう。本紅型の持つ哀愁を帯びた強い色は顔料独特のものかもしれません。
 よくわかりました。 母は嫁ぐ前にお稽古事で着物をすこし着たようですが、 祖母は結婚式くらいしかお着物を着たことがなかった ように思います。 うちではすっかりお着物に関する知識が世代間で切れて しまっています。
  このような話を母とか身内の人に教えてもらえると ほんとはよかったんだけど。 でもこうやって教えてくださる人がいるので奇妙な格好を しなくてすみそうです。 ありがとうございました。

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