280.黒帯をおしゃれに締めてもいい?   
 初めまして。今年から着物を着始めた初心者です。
  喪服、訪問着といったフォーマル着(なくてはならないもの)はもともと持っていたので、今は木綿やウールを買い足して、ふだん着のおしゃれを楽しもうとしているところです。
  そこで質問なのですが、喪服用の黒帯を、おしゃれ着として締めるのは変でしょうか 。 風のおわら盆の写真を見て、「黒帯ってオシャレ……」と思ったのがきっかけです。
  紬の黒い単に黒帯、赤の帯締めに赤の伊達衿といった格好で、黒をベースとした着付けに赤のアクセントを利かせたいのです。おしゃれ着ならどんな格好もあり、着物にベレー帽をかぶっている人だっているくらいなので、まあ、自分がよければそれでいいのかもしれませんが、よろしければご意見を聞かせていただければ嬉しく思います。
  黒、それも黒無地はとても好きな色なので、せっかくの黒帯をお葬式の時しか締められないのはちょっともったいないと思っているのです。

 こんにちは、りんりんさん。 りんりんさんのお持ちの黒共帯(喪服の帯をこう呼びます)は、織柄(無地の物もあります)が入っていませんか?
  その柄(たとえ無地であっても)から、誰がどう見ても黒共帯だと解ると思うんですけど、解っても構わないのでしょうか?
  解っても構わないとするのであれば、りんりんさんが普段に使用されるのに、反対する権利は、私には無いのですが、街中でそう云う帯を普段着にされている人を見かけたら、すごく不自然な印象を受けると思います。 それに、もしも不幸が起こって、いざ喪服を着ようとした場合に、帯だけが擦切れていたり汚れていたりしたら嫌ですよね?
  喪服は、出番が来ない事が望ましい着物です。 使えなくて「もったいない」のではなく、使わずに済んで「ありがたい」物だと思います。 ですので、オシャレ用の黒地の帯を探すか、木綿やウールで作られたら良いのではないかと思います。

 そうだったのですね! 確かに、街中で汚した帯を締められたら、仏様だって無念ですものね。これからは、出番がないことをありがたく思って、いざというときまでは箪笥の中に大切にしまっておきます。 いい勉強になりました。これからも頑張ります!
 遅くなりました。
 回答は鬼ころさんがされていますので、詳しい事は書きませんが思った事を・・・。  
  喪服用の黒の帯を普段に締めたい、また喪服をおしゃれ着として来ている姿が着物雑誌でも見受けられます。何故そのようなことになるのか不思議です。
 きものに限らず他の衣装でもその役割と言うのがあります。それはだれが決めたものでもなく長い歴史を通じて日本人(あるいはその国の人々)の感性が創ったものです。
 洋服で言えば、喪にはやはり黒です。それはお分かりいただけると思います。しかし、洋服の場合おしゃれとしての黒もあります。黒の靴、黒のスカート、黒無地のTシャツ、その他普段着の黒は珍しいことではありません。
 洋服が黒(無地)に関しては普段着にも用いているという事が、若い人達が喪服や喪の帯を普段に使いたがる原因かもしれません。
 しかし、喪の象徴となる黒はおしゃれ着にはなりえません。男性が黒無地のネクタイをおしゃれには使いません。女性がブラックフォーマルに黒のバックで歩けば、皆が喪の姿だと思うでしょう。
 反対に葬式に赤のワンピースで出ることはありません。そこにははっきりと一線が引かれています。
 昔の人(きものを普段に着る人が多かった時代の人)には喪服をおしゃれに着ることなど考え付かなかったでしょう。若い方が、黒はおしゃれだとばかり喪装を普段に着たがるのはやはり着物と縁遠くなってしまった証左だと思っています。
 何度も書きましたが、誰がどんな服装をしても他人がとやかく言うことではありません。若い人の感性が次世代の文化を担って行くものだと思っています。
 しかし、文化は過去の文化の積み重ねであり延長でもあります。喪装の意味を十分理解した上で着るのであれば新しい文化の創造と言えるかもしれませんが、ただの思いつきで着るのであれば、それは先人が築きあげたきもの文化の破壊でしかありません。
 以上、私の思うところです。

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