305.「熨斗」「熨斗目」   
 先日は、「夢」についてご解答ありがとうございました。
  本日は、神戸ファッションミュージアムで開催中の「大正昭和のお出かけ着物」展に行ってきました。そこで、ちょっと疑問に思ったんですが、 熨斗文様と菊花文様が描かれた染の着物の解説ボードに、熨斗目と菊花模様の着物と書いてありました。
  熨斗目模様と熨斗文様では全く別のものだと思うんですが。。。。。 その着物は、どう見ても熨斗目模様のような、袖下から腰にかけて模様が配置された着物ではありません。明らかに、あわびの具象化された文様である熨斗文が描かれていて、付け下げ風に配置されていました。
  解説を書いた学芸員は熨斗目模様と熨斗文を混同しているのでしょうか?それとも、熨斗目模様は狭義では、熨斗文のことを指すのでしょうか? ちなみに、私の着付けの先生も、熨斗文のことを熨斗目と言っているのですが。。。。 しっくりこないので、どうぞ教えてくださいませんか?

 「熨斗」「熨斗目」紛らわしい名前です。私もなんとなく「熨斗模様」だの「熨斗目」だのと使っていますが、はっきりと突き詰めて考えたことはありませんでした。
  きものの名称は非常に曖昧である事は再三書いてきました。同じ名称で別のものを指して言ったり、言葉が時代とともにその意味が変わったりもします。
 アワビを熨して作ったものを束ねたのが「たばね熨斗」、これが「熨斗文様」を指しています。「熨斗目」はおっしゃる通り、腰のあたりに段模様を配したものを指しているのですが、良く調べてみると「熨斗目」というのは柄の名前ではなく織り方の名称だったようです。
  ものの本には「経に生糸、緯に練糸を用いた織物・・・」とあります。この織物でつくった武家のきものに「熨斗目模様」が多かったので「熨斗目」は「熨斗目模様」を指すようになったのだと思います。
  さらに、子供の祝い着(男児)にこの模様を使っていたことから、祝い着を「のしめ」と称する場合があります。われわれ呉服屋の間では男児の宮参りの祝い着を「のしめ」と言って通じています。
  このように呉服用語は転用され曖昧です。 しかし、学芸員は言葉の正確な定義を用いるべきで、われわれ呉服屋のように、その場で通じれば良いというのとは違うと思います。
  「たばね熨斗文様」を単純に「熨斗目」と言っていたとしたならば、明らかに錯誤ないしは知識不足のそしりは免れないと思います。

 いつも御誠実に、わかりやすくご説明いただきありがとうございます。 本当に、着物の模様や、織物の名前には例外や、人によって違いがあり、いつもとまどってしまいます。 もう一度ファッションミュージアムに行って、学芸員に、その解説の出所を尋ねてみようと思っています。凝り性ですみません。m(_ _)m
  話は変わりますが、以前、大阪の船場の呉服屋さんで行われていた、中古着物の競り市をみかけました。呉服屋さんが次々と、取り上げた着物の染め、織り、産地などの説明をしていました。手に取っただけですぐにこれは銘仙とか、お召しとか、どうしてそんなに早くわかるのかな〜? 私もそれくらいすぐに見分けられるようになりたいです。 またよろしくお願いします。

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