32.木綿の着物について教えてください  

 今回は、木綿の着物に付いて教えて頂きたいのです。
  昨年の暮、ある量販店にお正月用として綿の単着物が飾ってありました。綿の着物は身近に見た事がありませんが、小説で
「冬というのに綿の単で震えているーつまり極貧状態」
又、落語の枕で
「明日から衣替え。貧しい長屋の住民とて大慌て、おかみさんが一晩で袷を単に縫い直し、歩く後姿に取り残した糸が付いていた」
などという話も耳にしました。 冬は綿も袷に仕立てるものと思っていましたが、どうなのでしょうか?
  ウールですと逆に袷は見た事が無いのですが、件のその綿着物は荒めな生地でどう見ても寒そうでした。 どうかお教え下さい、お願い致します。

 ウールも綿も袷で仕立てることはできます。先日、私もメリンスの袷を納めました。昔はよく袷で着たという話も聞きます。 裏は新モスやメリンス、絹物も使われます。
  私の店にもメリンスの八掛が数枚残っておりました。しかし、現在は綿やウールの袷は見かけません。
  目の粗い綿やウールは滑りが悪いので裏物との相性が悪いと着難いものになります。薩摩結城や番手の細い久留米絣(どちらも高級品です)などは絹裏をつけて仕立てますが、いわゆる綿反を袷で仕立てることはほとんどなくなりました。
  昔は普段着としての綿ウールですので、寒い時には袷や綿入れで仕立てたのでしょう。
  小説の件、「冬というのに綿の単・・・」というのは、文学的な表現ですね。 「綿」というのは「絹」と比べられて「貧乏」を連想させますし、「単」は「季節はずれ」を連想させます。(綿は貧乏の象徴ではないのですが・・・。)
  綿ウールの袷が着られなくなったのは、きものが普段着でなくなっている証左かもしれません。さびしいですね。綿ウールの袷を流行らせましょうか。若者の間で案外流行るかも・・・。

 ありがとうございました。冬はやはり単はどうも…、と感じてしまいます。
  今は綿はほとんど袷ではないとの事ですが、真冬も着られるのでしょうか? 母も綿着物を着たことがないとの事ですが、冬は袷にするのではと言っていました。
  見かけた荒めの綿着物は、見た目も着ても寒そうでしたが、若い店員さんには
「真冬に木綿のそれも単着物を着る」
という私の驚きが理解してもらえませんでした。着物への感覚が違うのだ、と感じたのですが。 冬に単ならウールの方がが見た目も着ても暖かいし、皺になりにくい、お洗濯も比較的簡単です。最近はお店では見かけませんが、色柄を考えればちょっとの外出にも着られます。
  本当にもっと手軽な(お値段も)着物があれば、若い方達も普段着るのではないでしょうか。
  先日パルコで古着の銘仙を、楽しそうに着付けてもらっている娘さんを見かけましたが、感性にあえばきっと気軽に着こなしてしまうのではないか、と思います。
 おっしゃるとおり冬に単はおかしいです。綿の袷がなくなったのは、冬場に綿を着る人がいなくなったということでしょう。特に山形のような北国では真冬に綿の単はとても着れません。冬は雪も降りますので「普段のきものなんて面倒くさい」という気持ちもあるのかもしれません。

|戻る|