325.不思議な着物、大島紬で黄八丈?                09/4/14  
 初めまして。 結城屋さんはHPでしか存じ上げてないのですが、とても真摯に着物と向き合っていらっしゃるようで、着物学(と、私は呼んでいます)を学ぶ上で、いつも教科書のように思って見させていただいております。
 さて、何年か前に着物専門のリサイクルショップで購入した反物について、疑問があったので、是非お聞きしたいのでよろしくお願いします。
 その生地は光沢があって、色は黄色…、というより、刈安色?と、鳶色の格子柄、といっても圧倒的に黄色が多く、鳶色の糸、一目分で格子を織り出している…という感じです。
 格子というか、市松文様の区切りの線を鳶色にしている?といいますか…。市松の部分は、織り分けで、経糸と緯糸のどちらを表に出すか、という感じで表現されています。遠目に見ますと、渋い刈安色の市松文様みたいな感じに見えますでしょうか。
 雰囲気はとてもよく、一目で気に入って購入したのですが、なぞが多い生地です。
 反物の状態で買いましたが、確か値段はリサイクル品で1〜2万円程度でした。一反は短く、身長163センチの私が仕立てるには、裄も身丈も少し足らないようでした。
 私が最も疑問に思うのは、商標のことです。
  反物のはしには確か、大島紬黄八丈 という風に織り込みの文字がありました。数年前の事で、詳細は思い出せないのですが…。  が、ついている証紙には本場大島紬とあります。
 大島紬と黄八丈は産地が別ですよね…?
  黄八丈風の大島紬ということでしょうか?
 証紙は、緑色の葉に囲まれた中に、機織機で機を織る女の人の絵が描いてあります。織り機は地機だと思われます。
 本場大島紬別織 特選別誂機 山徳別織  尺幅染色 権査証 保證 品質精撰 と、書いてありました。
 もうひとつ、八角形の花?のような形の、金色の商標もあります。 こちらは、大島紬 特選 別織 山徳商店  とあります。
 今手元に残っているのはこの二枚で、もしかしたら他にもあったのかもしれません。
 京都の着物の問屋に勤めている友人も、黄八丈では見たことの無い柄だといっていました。彼女の店は、京都でも紬や織物を多く扱い、もちろん黄八丈や大島紬、沖縄方面の織物も数多く扱っているところです。  
 確かに、色は黄八丈ですが、柄付けがまったく違うようなきがします。
 そして、何より、糸に節があるのです!! 黄八丈は紬地もあるのでしょうか?
 光沢も色もよく、とても安物には見えない、どうやって手に入れたの?ときかれました。事実、街を歩いていても、よい着物ね、と声を掛けられることが多い着物です。
 買ったルートが正規の呉服屋さんで無い以上、調べようがありません。 私自身とても気にいている着物なので、たとえ偽物といわれてもそれはそれでいいのですが、是非正体を知りたいのです。
 ゆうきくんならもしやと思って投稿いたします。よろしくお願いします。 Re:不思議な着物、大島紬で黄八丈?
 コンピュータートラブルの為、返信大変遅くなりました。申し訳ございません。
  個々の商品につきましては、現物を見ないと良く分かりませんので表記の内容を読んだ印象で書かせていただきます。
 御質問は、その反物は大島紬なのか黄八丈なのかあるいは何と言う織ものなのか?ということだと思います。 結論から言えば、おそらく大島紬でも黄八丈でもないと思います。
 まず、大島紬、黄八丈とは何かと言う定義をしなければなりません。
 どちらも協同組合を組織して生産しています。大島は鹿児島、大島、都城で別々に組織されています。しかし、組合に加盟せずに生産している織屋もあります。ですから、組合の証紙のあるものを本物と定義して良いのかどうかは疑問です。
  織りこんである「大島黄八丈」という名称は、商品名と考えるのが妥当でしょう。
 商品名は必ずしもその商品の本質を表しているとは限りません。「○○大島」とか「○○結城」「○○八丈」という名前も良く見かけますが、それらは「大島風の」「結城紬に似た」「黄八丈と同じ製法で織った」という意味が含まれています。ですからそれらは大島、結城、八丈以外の産地で織られたものがほとんどです。
  これらの商品は、本場の証紙と似たものが添付されているのが多いようです。証紙は公的に認定されたもの(本場結城の証紙など)、はっきりと織屋が特定されるもの以外はあまり意味がないと思った方がよさそうです。
 その証紙には「本場大島紬別織」とありますが、「本場大島紬」とあるのでしたら何か根拠があるのかもしれませんが、そうでないとしたら業界に混乱をもたらすものとしてその業者(証紙を貼った業者)の責任が問われると思います。また、繰り返し使われている「別織」「別誂え」というのがくせ者ですが。
 私の想像では、十日町か桐生、あるいは米沢あたりで織られたものだと思います。本物の大島紬や黄八丈ではないと思います。
 ただし、誤解されては困りますが、それは本場の大島や黄八丈ではないと言っても、即「粗悪品」とか「まがいもの」というレッテルを貼るのは早計です。名前を真似ていても、それはまがい物ではなくれっきとした織物であると考えたほうが良いでしょう。
 「粗悪品」であれば質の悪い糸を使っているとか、打ち込み賀悪いとか商品的欠点を指しますが、創でない限り、それはその織物として評価されるべきでしょう。
 先進の織や染を真似るというのは良くあることです。「秋田黄八丈」という織物があります。秋田で織られる織物ですので、本場黄八丈ではありません。しかし、今は名が通り市民権を得ています。
 山形の米沢の絣は「米琉」と呼ばれます。これは「米沢琉球」の略です。絣の先進地である琉球を真似て織ったものが「米琉」となりました。
 きものの価値を評価する場合、名前や作家などの付加価値で判断してしまいますが、商品と価格を見比べて判断されることをお奨めいたします。
 1〜2万円で購入されたとのことです。また、「よい着物」と声を掛けられるとのことです。十分に満足できるのではないでしょうか。
 絹紡糸の織物ですぐに膝が出てしまうことがあるかどうか、現物を見ないので分かりませんが、少なくともその価格で購入されてきものの成因に疑問をさしはさむ必要は無いと思います。

 ご回答ありがとうございました!!

 >織りこんである「大島黄八丈」という名称は、商品名と考えるのが妥当でしょう。

 なるほど!!商品名と考えると、凄くわかりやすく納得がいきました! 「秋田黄八丈」「米琉」のお話も凄く参考になりました。 産地、作者というのは、着物を好きになればなるほど気になり、有名無名を問わず、知りたくなるものです。 それは、こんな素敵なもの、誰が作ったのかしら、と素直に感動するからです。
 しかし、おっしゃるように、産地を突き詰められないものが沢山あるのも事実ですね……。 そしてその中に素敵なものが沢山あるのも事実です!!
  これからは、名前にこだわらず、着物を楽しもうと思います。 ありがとうございました!!
 ゆうきくんの、きもの研究会、いつもとても参考にしています! 実はプリントアウトして、ファイルしてますよ☆ 大事なところには赤線も……。 これからも楽しみにしています!!

 

 ご丁寧にありがとうございます。 また、全日本きもの研究会をご愛顧いただきましてありがとうございます。
 
現在、ゆうきくんは別事業に専念せざるを得なくなり、研究会、呉服業がおろそかになっています。申し訳ありません。 落ち着きましたらまた業界の為に活発に始めようと思っています。 悪しからずご了承願います。

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