334.帯の落款   
 はじめまして。
 いつも、役立つ情報をありがとうございます。 着物が大好きで、時々覗かせていただいております。
 さて、最近叔母から譲ってもらった袋帯のことでお尋ねいたします。
  二重太鼓に結んだおたいこのたれ先に作者の落款が出てしまいます。 私の手持ちの帯では、落款は折り込んだおたいこで隠れる位置になっています。 着用時に落款が見える帯って、どうでしょう?やはりおかしいでしょうか? たれ先をほどいて裏側に縫い込めば隠れますが、そんなことしてもいいのかな〜? と、思案にくれております。どうか、アドバイスをお願いいたします。
 袋帯の端には「界切」と呼ばれる部分があります。これは本体とは別に余分に織ったもので、そこには帯の名称や織屋の名前が織り込まれます。本体との堺を「界切」とも言います。
 この界切から10cm位のところに線が入っています。これをオランダ線と言います。ちょうど垂先に当る部分です。(最近はオランダ線のない帯も見受けられます。)
 通常、界切線で織り込んで仕立てます。従って、界切からオランダ線までが垂になるのが普通です。
 どのように仕立ててあるのか、見ないと分かりませんが、文面から察すると、界切を垂としているように思えます。 界切は折込んで仕立てるのが普通ですが、私も界切を垂にして仕立てたことがあります。
 それは、帯の柄との兼ね合いで、垂を無地にしたいというお客様の要望でした。界切が無地でしたので、お客様の要望どおりに界切を垂としました。
 物理的には界切を垂とする事はできます。その場合の弊害は次のようなことでしょう。
   ・垂先から柄の中心(太鼓柄の場合)まで10cm位長くなるので太鼓柄がうまく出せない。
   ・総柄の場合は、帯の長さが長くなるので手の方が長くなってしまう。
 しかし、それらは帯の締め方で十分吸収できるものと思います。
 問題は、見た目がどうかということです。
 界切に落款が入っているとのことですが、締めてみていかがでしょうか。軸絵に落款が押してある如く、太鼓が一つの絵として調和がとれているでしょうか。それとも・・・落款が重すぎて「私はこんなに高価な帯を締めています」と見る人の目に映っているでしょうか。
 結論的には、次のようかと思います。
 界切は折込んで仕立てるのが普通です。しかし、場合によって界切を垂にすることは絶対いけないとは誰も言えません。その場合、帯がどのような顔になるかを考えるべきでしょう。それは締める人のセンスでしかありません。自分に合った帯の顔を創ってください。
 早速お返事いただきありがとうございます。
 「軸絵に落款が押してある如く、太鼓が一つの絵として調和がとれている」ことがポイントなんですね。大いに納得いたしました。
 自信をもって落款を見せて締めてみようと思います。ちょっと見慣れぬものに遭遇すると、このようにうろたえてしまうのは、和装の世界には何か私の知らない決まり事があるような気がしているからかもしれません。いつか、自分らしく堂々と装えるようになりたい!と、切に思いました。
 界切やオランダ線といった帯の部分の名称を知ったのも嬉しいことでした。本当にありがとうございました。

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