346.着物業界への疑問   
 この記事にもある通り着物業界は大変な時期を迎えているとの事をよく耳にするようになりました。
 長年着物を愛用している者としてだまって看過できない気になります。
  業界の盛衰は一つに着物を普段から着なれている人口の多少とおおいに関連する筈です。その様な人たちは私の様に着物で育った世代が可なりの部分を占めるのではないですか?
  着物は長く着てみてその良さにを感得するものです。若い人たちの多くはそのような機会がありません。成人式、卒業式、夏の花火や盆踊りなどの一過性の機会を別にすれば着物に触れる機会がない。これでは着物とは何か面倒なものでわざわざ、それを押して着る必要がないと思うでしょう。我々のような着物人口は既に少数派で今後益々減少します。
  一方我々が手ごろな普段着を求めようとすると殆ど市販されておりません。これでは着物業界が消滅しても如何とも仕方がありません。先ず着物に慣れ親しむ底辺の人口を確保することこそ緊急の課題であると思いますが如何対応されておられるのかお尋ねいたします。

  返信大変遅くなりました。申し訳ございません。
 着物業界が大変な状況に陥っているのは周知のごとくですが、これらは業界自身が引き起こしたものと言えます。
 着物好きさんのような日常着物を着る方々を無視して高価(高額)な着物をいかにして売るかと言うことばかり考えてきたつけが回ってきたとしか言いようがありません。
 私の店では、次のように、そのような流れに逆らってやってきました。
  ・妙な付加価値はつけないこと。 「作家物」だとか「希少価値」だとか「○○ご招待」だの、消費者の目を曇らせることはしない。
   ・できるだけ多くの方にご利用いただけるように安く仕入れ。
   ・安く仕入れるためにも買取りして品質には責任を持つ
   ・呉服専門店として普段着からフォーマルまで品揃えする
  私の店ではネルやセル、メリンス、綿反まで扱っています。
 しかしながら、当社の努力がなかなか販売に結びつかないことが多いようです。
 消費者の目は「展示会」「○○ご招待」に行っているようです。(最近はそうでもなくなったようですが)
  以前、
  「結城屋さんはサービスが悪いですね。他の呉服屋さんは京都へ招待してくれるんです。」
と言われたことが有ります。
  内情を知っている人は、「京都へ招待する」ことが何を意味するかは分かります。なぜ消費者がそれに気がつかないのか不思議です。
 また、価格についても、できるだけ安くつけておりますが、消費者からは、
「うちに出入りしている呉服屋は何も言わなくても半額にしてくれます」
「もっと高いのはありませんか」
という声が聞こえます。価格と品質の本質を見ていただけないことに歯がゆさを感じます。
 普段着についても、なかなか見ていただけません。当社の努力不足と言えば創かもしれませんが、普段着を扱っている呉服屋は当社に限らないと思います。過度な宣伝や販促をする店が呉服屋だと思っている方が多いようです。当社は繁華街にあることが逆に「結城屋さんは高級品ばかりで」というイメージを植えつけているようです。  過度な販促や宣伝をして採算が取れるほど呉服は儲かるものではありません。いくらでも利幅は大きくすれば別ですが。
 消費者への対応は地道にやってゆくしかないと思っています。その為に、消費者にきものの本当の姿、本当の価値を知っていただくための活動を続けてゆきます。

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