445.長じゅばんの仕立て   
 長じゅばんの仕立ての件でお教えください。
 あわせ、単衣とともにいしきあてというか 後ろ身頃に当ててある仕立てがありますが、 呉服屋さんの都合でなく、 (暑がりさんようにつくられたのではなく 価格を下げるために胴裏をつけないという事を聞いたことがあります。) 本来の仕立て法(着る側が本当に着やすくという意味です。) を教えてください。
 日本の着物は、袷、単衣、薄物と年三回衣替えすることはご存知の通りです。 襦袢もそれに従って袷、単衣、薄物の三種類があります。
  袷は寒い時期に着る襦袢で、本来文字通り袷で仕立てられました。袷と言うのは表裏二枚の生地で仕立てるもので、袷の着物と同じように裏の付いた襦袢です。
  単衣は襦袢地一枚で仕立てるものです。 薄物は紗や絽の襦袢地を用います。
  しかし、今は袷の襦袢はほとんどありません。昔のように寒さを凌ぐという意味が薄らいでいます。着物を着る場面がホテルや屋内等暖房が完璧に効いているので、防寒の意味では袷の襦袢は必要なくなっています。昔は暖房設備が今ほど充実せず、隙間風の通る寒いところでは袷の襦袢が必要だったのでしょう。
  今日袷用の襦袢は、「無双」(袖無双とも言います。他の呼び名もあるかもしれません)と言われる仕立てをしています。これは、袖口と裾の部分を袷に見えるように仕立てたものです。見たところ袷に見えますが、胴の部分、袖口以外は単衣になります。 私の店でも袷用襦袢の99%はこの無双仕立てになっています。
  単衣襦袢は全くの単衣仕立てで袖口も単衣になっています。 ちなみに無双仕立用の襦袢地は13.5m、単衣用襦袢地は13.0mです。
  さて、居敷当についてですが、居敷当はもともと単衣、薄物襦袢に付けた物です。 当てるのは尻の部分です。襦袢に限らず単衣は袷と違ってそじやすいので、それを防ぐために付けた物です。 膝が畳みにこすった場合を考えてみてください。袷の場合二枚の布が擦れ合って緩衝になりますが、単衣の場合まともに畳をこすってしまうので生地が痛みます。 お尻も同じで擦れ易いので居敷を当ててそじるのを防いでいます。 また、お尻の部分の縫い目が目はだかりするのを防いでいます。お尻の部分は左右にひっばられますので、縫い目に負担が掛かります。背伏や背包みをして縫い目を守りますがそれでも左右に引っ張られますので強度を保つ意味でも居敷を付けます。
  私の店では、居敷を大きく(左右の脇縫いから脇縫いまで)付けることをお勧めしています。つまり腰から下の後だけ袷にしたようなものです。こうすれば着物の擦れや目はだかりを防ぐことが出来ます。 薄物には紗の居敷を付けています。
  以上が居敷当ですが、居敷当は実用的に付ける物で、「価格を下げるために胴裏をつけない」と言うことは無いと思います。 居敷を付ける付けないはお客様の要望に任せています。 「生地が余ったら居敷を付けておいてください。」という要望も多いです。
 こんなに丁寧に教えて頂けてとても嬉しいです! ありがとうございます。
  もう一回質問させてください。(しつこくすみません・・。) 私の実際に着て体で感じたお話しなので 感覚的な質問で他人様に質問するなんて大変申し訳ないことを 重ねがさねお詫びして書きます。 分かりにくいかもしれませんが…又、お答えくださると嬉しいです。
  「無双」は私の感想では特に違和感なく着る事ができます。 今、東京関西方面での長襦袢の仕立ては 背中だけに裏をつけない仕立てが多くなっています。 (東京関西方面で) 私はとても着ていて言葉では説明出来ない違和感があります。 バランスが悪いというのかな、体が違和感を持ちます。
  何が言いたいのか?って怒られてしまうかもしれませんが… 仕立てが悪いという事ではありません。 おばあちゃんが生存していたならなんとなく答えてくれるような 感覚的な質問をしていると思います。
  居敷当についてもまだ経験が少ないので感想が言えませんが、 同じ感覚を持つかもしれません。 一枚そういう仕立てがあるので来年の薄物の時に意識して着てみます。 いわゆる本来背中だけ単衣という仕立ては無かったのではないかと思います。 私は大変体に神経質であって色々と考える性質ですので こんな変な疑問を持っているのかもしれませんが どうぞこれからの長じゅばんの仕立ての時に応用したいので お教えください。
  余談> 今ある長じゅばんを一度、 結城屋さんで仕立て直しして頂こうと考えました。
 長襦袢の仕立は地方によって違いがあります。 物の本によれば、東京地方で3種類、大阪地方で3種類、名古屋地方で5種類あるそうです。 以前、遠方の方から注文を貰い仕立てて納めたときに、「仕立てが違う」といわれたことがありました。 HANAHANAさんがどのような襦袢を着にくいといってらっしゃるかは現物を見ないとはっきりとコメントできませんが、とりあえず下記の通りお応えいたします。
  着物の仕立てで一般に「胴抜き」といわれているものと「無双仕立」は全く異なるものです。 胴抜きは胴裏を付けずに、いわば八掛だけを付けるものです。私は着た事が無いので実感として分かりませんが、胴の部分だけ軽く、裾が重い感覚だと思います。 これは違和感を感じるかもしれません。 無双仕立ての場合、「見かけが袷」という程度ですので、単衣を着た感覚と変わらないと思います。
 
 本当に丁寧にお答えくださってうれしく思います。
  一般的にですが・・・ きもの研究家といわれる方、 きものの本や雑誌にかかわっている方、 呉服店の方々は 「お商売」が多く・・ もちろん商売は当たり前です、 でも 「お商売」なんですね・・・。
  感覚的なお話や話に広がりがなければ きものは難しいと思います。 だって着る文化なんですもの。 引き出しの数が多く、 そしてぞの引き出しがあらゆる方向に開いて それでいて隠し引き出しがあれば きものが楽しくなります。
  呉服屋さんに嫌気がさしていた今日この頃、 良い店主と巡り合えたような気がします。 もちろん、京都にも良い店主はおられます。 良い呉服店に努めて誠心誠意されている方もおられます。 きものはすべてを露見する恐ろしいものだと思っています。
  もう古い言葉ですがボディコンシャス、ボデコンのファッションよりも 体型が出ますし、 日ごろの生活態度、心の品などがあらわれるものだと思います。 着物を着たときの体の違和感が 人間ドックに行く必要のない最高の検査機器になるし、 嘘も隠しもない履歴書が着姿だと思います。
  今日も頑張って着物着ます!!! まだ楽しくではなく頑張らなければ着物にしてやられます・・・・。

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