493.黒無地の道行は「正装」とありますが、「正装」とは   
 質問箱の296に黒無地の道行の質問がありますね。
  私も同じ疑問があり、ゆうきくんのページに行き当たりました。
  「正装」とお答えなのですが、「正装」とは具体的にどのような着物を、どのような場面で、なのか、もう少し詳しくお教え頂けますと幸いです。
 着物の格につきましては大変微妙です。 微妙と言いますのは、きものの習慣が時代や場所によって異なり、全国共通のしきたりは無いからです。
  むりやり「このきものは・・・」と決め付けたがる傾向がこの業界にはあるのですが、本来そのようなものではないという事を頭に入れていただきたいと思います。
  さて黒無地の道行きについてですが、道行に限らず、また日本の着物にかぎらず西洋の洋服でも「白」と「黒」と言うのは特別な色です。色彩学でいえば「無彩色」と言って赤や青など他の色と違った分類になります。
  「白」や「黒」が着物や洋服の世界でどのように扱われてきたかといいますと、それは尋常ではない場合の衣装の色です。 ウエディングドレス、喪服、白装束、黒紋付など白や黒を着るのは非日常時です。
  現在は、白が祝儀、黒が不祝儀という色分けがされていますが、本来日本では反対でした。男性の正装は黒紋付であることがそれを物語っています。白は切腹の時の装束でした。死ぬときの衣装は白装束です。 白と黒に対する日本と西洋の感覚は逆でした。このことは戦国時代に日本にわたってきた宣教師が書き残しています。 現代は日本の西洋化が進んだ為に、白は祝儀、黒は不祝儀となっているようです。
  どちらにしましても白と黒というのは特殊な色であることはお分かりいただけると思います。 黒の道行きについて、黒という色、それも無地である場合は、尋常ではないと身構えなくてはなりません。すなわち「正装」という要素がはらんでいると捉えるべきでしょう。
  はつきりと「それは正装にしか着れません」とは申し上げたくないのは、冒頭に書いた理由からです。

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