52.十三参りの着物   
 いつもお世話になっております。 今度は黒紋付について教えてください。
  結城屋さんのサイトでも数ランクのお生地があるようですが、何が違うのでしょうか?
  それは何を見れば目安になるのでしょうか?
  一番お安いお生地でもなにやら沢山のシールが貼られていて「よいお生地ですので10万円ですよ」と言われても納得してしまいそうです。
  そろそろ親族がよい年齢になっておりますし、こちらもいい歳ですので、いつまでも洋服の喪服というわけにもいきません。 また、地質についても教えてください。
  最近ですと、縮緬地が主なようで、店によっては「女性の黒紋付は縮緬ですよ」という店まで。でも昔の着物の話の本などでは「羽二重の紋付は・・・」という話もあるので、着ていなかったわけでもなさそうです。 女性は羽二重の黒紋付を着ないものなのでしょうか?

 生地の見分け方については度々話題に上ります。白生地の場合は量目の印を目安にするとか、産地の印を目印にするとかの方法もありますが、現実的な方法は次の二つに帰するようです。
・見る目を肥やし、自分で触って判断する。
・絶対に信用できる呉服屋を探す
  黒紋付には特にべたべたとシールが貼ってあります。「○○黒」「○○加工」といった類のシールが。私はシールを貼られるのを好みません。やはり、お客様の目で商品を判断してもらいたいですので。染屋には「シールを貼らないで持って来い」と言っても、そうはいかないらしく、シールを剥がそうともしましたが、実はシールを剥がすと剥した痕がつくのです。何か難物のようになってしまいますのでシールはそのままにしています。シールがたくさん貼ってあるから良い商品ということは絶対にありません。そういう「目くらまし」には注意しましょう。
 昔は(20〜30年くらい前まででしょうか)黒紋付は羽二重でした。いまでも羽二重で作られる方もいます。私の店では百人に一人くらいでしょうか。しかし、今は縮緬が主流となっています。
  何故そうなったのかは分かりませんが、比べてみると羽二重は光沢があるので白っぽく見えてしまいます。そんな理由かもしれません。 しかし、「紋付は縮緬でなくてはならない。」「羽二重で作ってはならない」という決まりは全くありません。

 量目も目安なのですね。ただ、重い着物は着崩れしやすいので難しいですが。 手持ちの着物でも一番重い一張羅と普段物では同じ正絹でも倍ほど違います。
  なるほど。ある小説では「縮緬はシボが合わさるから裾が崩れにくい。羽二重はすぐ崩れるからお転婆さんには合わない」というクダリがありました。 見た目の黒の濃さもさることながら、昨今の着慣れない方が葬式のときだけに着る着物としては着にくい着物ということで、すすめなくなったのかもしれません。
  私の子供の頃には艶のある喪服を着ている人が多かったように思います。 あれは、羽二重だったのでしょう。 どうもありがとうございました。

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