54.木綿の絣の上に何を羽織ればよいのでしょう?   
 いつも興味深く拝見しております。木綿の着物(弓浜、藍染)を持っているのですが、今の季節ははともかく、もう少し寒くなってきた時、何を羽織ればよいのか、よく解らないのです。
 ちりめん系の羽織も合わないような気がするし、紬を合わせても、生地の素材、柔らかさが違うと、ごそごそしないかとあれこれ悩みます。
  結局、大判のウールショールあたりで ごまかしてしまいそうですが、何か、よい御考えがありましたらお教えください。

 和服は日本の衣裳として確立されていますので、どんな時でもそれに応じたきものがあります。木綿のきものを着て寒くなったらどうするの?という場合でもそれに対応する物はあります。「ウールショールでごまかす」というのは必要ないと思います。
  弓浜絣は木綿のきものの中でも高級(高額)品になります。高額であろうと廉価であろうと普段着にはかわりはないのですが、普段着の範囲の中でも着る格によって羽織る物も自ずから違ってきます。
  本当の普段着で着る場合は半幅帯をされると思います。しかし、弓浜絣などはもう少し格が高いところでも着るようです。すなわち八寸帯を太鼓で締める場合です。
  半幅帯を締めるような場合でしたら、超普段着(変な言葉ですみません)ですのでウールや綿の上っ張り(引っ張り、キッチンコートとも言います。)が良いでしょう。夏向きのサマーウールやしじら、麻混のものから冬場のウールや袷の物まで呉服屋さんで3000〜10000円位です。
  太鼓を締めて外出する時はコートを羽織りますが、道行コートのように格式ばったものではなく、軽い道中着が良いでしょう。正絹の物に抵抗があると思いますが、既製の道中着は化繊やウールでできたものがあります。
  化繊やウールは正絹よりも水に対して鷹揚ですので、普段着としての綿のきものには良いように思います。既製が嫌でしたら仕立もできますので呉服屋さんに相談してください。柄も色も普段着っぽいもので作られたら良いと思います。
  きものの合わせ方については、とかく「これにはこれを合わせなくてはならない」「これにこれを合わせてはならない」と考えがちですが、もっと自由に考えてみてはどうでしょう。もちろんメチャクチャな合わせ方ではいけませんが、先に申し上げたとおり、何時どこでも着れるきものが用意されていますから、具体的なことは行きつけの呉服屋さんに相談してください。

 ゆうきくん様 タピオカ様への、お返事を待っておりました。 私は木綿の着物は、単衣で、6月から9月という事しか 頭になかったのです。 もし10月以降着るとしたら、ウールのように単衣で仕立てる のでしょうか。それとも、モスなどで袷仕立てにするのでしょうか。 よろしくお願いいたします。
 今は綿の袷はほとんど作られなくなりました。実は私も今までに袷の紬を仕立てたのは二回しかありません。 昔は普段着といえば綿でしたので綿の袷は当たり前に作られていました。
  日常に着る綿の袷(野良着の類)の裏は色新モスが使われていました。少々ごわごわしますが、価格的にも実用的にも丁度良かったのでしょう。少しオシャレなものは新モスの胴裏にメリンスの八掛を付けました。メリンスの八掛はほとんど見られなくなってしまいました。
  私の店でも私が戻ってきた時(20年前)には数枚残っていましたが、今は在庫はありません。まだ作られているとは思います。 今綿の袷を仕立てるとしたら、おそらく野良着の類ではなく弓浜絣や番手の細い久留米絣などの高級綿反だと思います。その場合、裏地は男物の裏地に使う正花の生地を総裏で使うか、正絹と同じ絹裏を付けて良いと思います。
  私の店で仕立てたものも番手の細い久留米絣や薩摩絣でしたので正絹の胴裏に正絹の八掛を付けました。正花の生地は色が限定されますので好みの色を探すのが大変かもしれません。
 ゆうきくん様 昔の話、今現在の話、詳しくご説明頂き、よく解りました。 冬でも、好きなら着ても良いし、絹胴裏でも良いのですね。 とても勉強になりました。 お忙しいところ、ありがとうございました。
 さっそくに御返事いただき有難うございます。ご推察の通り八寸帯を合わせたいと思いますので、道中着を探してみます、と言いたいところなのですが、道行コートと道中着の見分けがつかないのです。
  呼び名が違うだけで同じものだと思っていました。その違いを教えていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
道行は正式なコート、道中着はややくだけたコートと思ってください。

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