512.花織と西陣御召について   

 最近目にした着物2点について質問です。以前より秘かにこの質問コーナーを拝見し勉強させていただいておりました。宜しくお願いいたします。

  1. 花織について 知人が花織と称する紬をリサイクルで購入したのですが私が知っている所謂沖縄の花織(読谷山、南風原、首里、与那国)とは少し違うような気がします。沖縄以外で織られた綜絖花織と思うのですがそれにしても花の部分の浮が少なく全体に凹凸がありません。
  風車、銭花様の模様が織り込まれていますので花織と言われればそうかなとは思うのですが。証紙等も付いていなかったようですが結構高価だったとのことでした。花織とは何を持って花織というのか教えて下さい。

  2. 西陣御召について ネットで購入したがサイズが合わなかったという事で知人から西陣御召を貰いました。細かい蚊絣の大島のようにすべっとした袷です。
  柄、色共に気に入っているので別に西陣御召でも村山大島でもかまわないのですが御召といったら先練り、先染めのシボのあるものと認識していましたのでこれって本当に西陣御召?と疑問に思っています。西陣御召は所謂御召とは違うのですか?

 私は「花織」の定義は分かりません。あるのかどうかも分かりませんし、定義すべきものかどうかも分かりません。 しかし、私の中では「読谷村花織」が花織の原点だと思っています。歴史的にどうか分かりませんし、私が始めて出合った花織が「読谷村花織」だったこと、また一般的に知られていること等が理由です。
  沖縄で織られている他の花織も「読谷村花織」とそう違った織方ではないと思います。 さて、購入された花織ですが、現物を見なければ何も言えません。ただ、言えることは、沖縄の花織以外にも「○○花織」として商品が出回っています。 これは花織に限りません。「○○大島」「○○結城」「○○八丈」など商品名として使われている場合も多いです。
  私のWEBでもちょうど本日「夏大島(十日町大島)」をUPしました。 それらの名前を冠する事は必ずしも悪いことではありません。伝統的な技術を真似て染織をすることは以前から行われてきましたし、それが染織技術の発展に繋がっています。
  問題は、それらの商品を「○○」を付けずにあたかも本場の織物のように偽っている場合です。そのケースはたいへん多いです。 「○○」が付いたものは大抵本場よりも安く仕上がっています。琉球の「花倉織」を真似た商品が西陣で織られて1/10位の価格(価格ベース)でした。それを本場の花倉織と同じ価格で販売する業者もいることでしょう。
  購入された花織が高価だったということですが、高価で購入することが本物の証であるとは限らないケースがあると言うことは覚えていて良いと思います。 花織の定義は、沖縄で伝統的に織られてきた花織はそれぞれに基準をもって定義と捉えてよいかと思います。それ以外の花織は「まがい物」と言うことではなく花織に準拠して折られている織物と捉えてはいかがでしょうか。 問題はそれに相応しい価格で販売されているかどうかです。
  御召については後日・・・・
 思っていた通り大変的確な返信を有難うございました。
  私も花織の原点は読谷山花織だと思っています。先日も青山の伝統工芸館で読谷山の花織を見せていただきその美しさを目に焼き付けてきました。
  西陣御召についても期待しております。宜しくお願い致します。
 「西陣御召は所謂御召とは違うのですか?」というご質問ですが、この質問は的を得ておりません。「御召」と「西陣御召」は同じ土台では語れません。
  「御召」はあくまでも「御召」です。「御召」は生地の種類(織り方)を指していますので西陣の御召であろうが米沢の御召であろうが御召は御召です。
  つまり「西陣御召は所謂御召とは違うのですか?」という質問は、「トヨタの車は所謂車とは違うのですか?」という質問と同義ですので答えようがありません。
  今は西陣では御召を織る機が少なくなってしまいましたが、以前は沢山ありましたので様々な御召が織られていたと思います。「西陣御召」の意味するところは、「西陣で織られた御召」であって、特定の織り方を指すものではありません。
  さて、「御召」の定義は、「先染めちりめん」の事で、撚りを掛けた生糸を先に染めて織った生地の事です。「ちりめん」(後染め)にもシボの低い一越や綸子からシボが高く目立つ「鬼ちりめん」「うずらちりめん」などがあります。ですから御召の種類も様々ありますので、シボが目立たない御召もあっておかしくはありません。
  それともう一つ、御召は「生糸を先染めした生地」という解釈を拡大して、「撚りを掛けた糸で・・・」を無視または軽視して使う場合があるように思います。これは業界で交わされる言葉上のことですので、正式な商品名としては適用されてはいないと思いますが、きもの用語は曖昧ですのでそのように使われる場合もあるようです。
  「紬糸を先染めした紬」に対して「生糸を先染めした御召」というような意味で使われる場合が往々にしてあるようにも思われます。つまり「撚りを掛けない生糸で織った先染生地」まで拡大して「御召」と呼ぶ場合があるように思えます。
  参考までに。
 御召にも拡大解釈で様々なものがあるという事ですね?
  これから御召と称する物を 沢山見ていきたいと思います。有難うございました。

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