516.留袖の長襦袢について   
 こんばんは。 いつもアドバイスいただきまして ありがとうございます。
  7月末に息子の結婚式を予定しています。 会場はホテルではありますが 相当な暑さが予想されます。 私は 母親なので袷の黒留袖を着るつもりですが 長襦袢を袷の礼装用を着るべきか迷っています。 爽竹の白い長襦袢を着てはいけませんか?
  衿は塩瀬を付けても  袖の振りからのぞく長襦袢の材質が爽竹では おかしいでしょうか? 一応 お客様をお迎えする立場なので失礼があってはいけません。 我慢してでも正式の長襦袢を着用すべきかどうか 教えてください。
 まず、おっしゃっている「袷の襦袢」とはどのような襦袢でしょうか。 「袷の襦袢」とは裏の付いた襦袢ですが、現在そのような袷の襦袢はほとんど無いと思います。袷は防寒のために裏を付けた物ですが、着ればとても暖かいものです。隙間風が当たり前の時代、袷の襦袢は着られましたが、現代は暖房が効いていますので、「袷の襦袢」と称するものの多くは「袖無双の襦袢」です。これは袖と裾を袷に仕立てたもので胴は単です。
 お持ちの「袷の襦袢」が裏の付いた本当の「袷の襦袢」だとすれば七月の着用は暑くて着てはいられないでしょう。「袷の襦袢」を着るとすれば「袖無双の襦袢」でしょう。
 さて黒留袖について、本来は7月ですので絽の黒留袖と言いたいところです。絽の黒留袖は極少量ですが造られています。(造られていると思います。需要が無いので最近見たことは無いのですが)しかし、絽の留袖を着る人はほとんどいないと思います。
 次に単衣の留袖が考えられますが、これも極少数でしょう。どうしても単衣の留袖を着なくては成らないときには、お母様の留袖等の仕立て替えをお薦めしていますが、それでも単衣の留袖を仕立てる人は少ないです。
 結局6月や7月でも袷の留袖を着る人が大半といえます。
 ご質問の本題は襦袢についてですので襦袢についてお応えいたします。
 話は大変複雑です。まず、襦袢について悩んでいるのは、
  1.袷の留袖に単衣あるいは絽の襦袢を着てよいのか。  しかし、
  2.季節は7月なので、袷の留袖を着ることがしきたりに反している  とすると
  3.留袖が違法であり、襦袢は夏物でよい
 しかし、襦袢は表地に合わせるべきで 1.袷の留袖に単衣あるいは絽の襦袢を着てよいのか。 ということになり、堂々巡りになりそうです。
  以上は、きもののしきたりを論理的に考えた為に起こる無限地獄です。 もっとあっさりと考えましょう。
 呉服屋として、「7月に袷の留袖でも良いですよ」とは言えません。
 しかし、現実に7月に留袖を着る立場の人皆が皆絽の留袖を用意できるとは思えません。
 留袖は大切な儀式の着物です。その人の立場からは留袖以外には考えられないでしょう。
 時は7月です。年によっては、外はうだるような暑さかもしれません。式場は空調が万全だと言っても夏は夏です。我慢して袷の襦袢を着たところで、皆が 「あの人は着物のしきたりを守る立派な人だ」 と拍手してくれるものでしょうか。それとも 「なんとも暑苦しい」 と思うでしょうか。 「着てよい、着て悪い」は誰も判断できません。
 袷を着た時、単衣・絽を着た時のその場の自分、周囲の人々を想像してみてください。そして、ご自分で判断されてはと思います。
 すみません。私にはそれしか言えません。

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