63.色無地一つ紋に染め帯は・・・?
 卒業式の話題が出る季節ですね。 ・・・と私の場合は娘の卒業式なのですが。
  ゆうきさま、そこで質問させてくださいませ。
  色無地は便利なものといいますが、それは紋のないものに限ってでしょうか? と言いますのは、一つ紋でも紋がつきますとあまりくだけた帯は似合わないと聞きます。 その点がひっかかっているのです。
  一つ紋の色無地に塩瀬の名古屋はおかしいでしょうか? ちょうど娘の卒業式に桜の帯を締めてみたいのですが・・・。 染め帯と言っても、くだけたイメージのものではなく以前に呉服屋さんがみえたときにお見せしたところ「格があるので余りカジュアルな紬には合いませんね」と言われたことがあるのです。
  金を多く使っているかとはでなく、手描きのもので雰囲気が上品で静かな感じの帯です。 ・・・と言うことは付け下げとか、小紋とか紬でも無地ものかしらと微妙な理解をしました。
  紋がなければ文句なく合わせたいのですが、微妙なところでどうなんだろうと思っています。 そもそも一つ紋の色無地ならば袋帯を合わせるのがよいのでしょうが、いつも短い季節にこの桜の帯を締め損なってしまっておりまして、何とかこの際登場させることはできないものかとお尋ねいたしました。 どうかよろしくお願いいたします。

 いつもページを訪問いただいてありがとうございます。
 
まず、ご質問の中に出てくる「色無地」「塩瀬の名古屋帯」「付下げ」「小紋」「紬」「袋帯」にはそれぞれ様々な種類があることを考えてください。
  一口に「小紋」と言いましても、格のある付下げの一歩手前くらいのものから、極普段着、紬を着た人達と一緒に居られるような小紋まであるということです。
  色無地に限っても生地の種類、綸子から鬼縮緬まで、また地紋の入ったもの入らないものなど、一口に「色無地」の名称で一色単に出来ないのです。  
  帯やきものの合わせ方についてお客様に説明する時には、いつもこのことで誤解が生じないように注意を払っています。例えば
「色無地には袋帯が合います。」
と説明したとすると、
「色無地には袋帯を締めなければならない。袋帯以外は締めてはいけない。」
と解される恐れがあるからです。色無地に袋帯以外の帯を締める場合もありますし、袋帯の中にも色無地には合わない物も多くあります。そういったことを頭に入れた上で聞いてください。  
  一般に、○○のきものには××の帯しか締められないということはありません。付下げには袋帯、名古屋帯いずれも締めます。紬の場合は袋帯、名古屋帯、半幅帯も締められます。
  きものにはそれぞれに格というものがありますが、同じ着物でも締める帯によって格が変わってきます。同じ訪問着でも重い(金銀を多用したような格の高い)袋帯を締めた時と軽い袋帯を締めたときでは全体の格が変わってきます。それは重い帯が合う場(結婚式など)、軽い帯が合う場に応じて決めます。
  色無地などはその良い例です。結婚式には色無地に袋帯というのが一般的のようです。しかし、格の高い織名古屋帯をしめても構いませんし、私はむしろ色無地には織名古屋帯の方が似合うと思います。
  また、染帯をしめる場というのも当然あります。色無地に染帯を締めれば全体の格が下がり気軽にきれるようにもなります。ちょっとしたお茶会等にはぴったりだと思います。  
  さて、ご質問の卒業式でのきものについてですが、一つ紋の色無地は昔から着られていますし、ぴったりです。紋が無い方が気軽に着れるといいますが、卒業式はあくまでもお子様の晴の場、紋の着いたものの方が良いと思います。それにあわせる帯はと言えば、 「袋帯でも織名古屋帯でも染帯でもかまいません」 と申し上げる他ありません。ただし、最初に申し上げましたように染帯といっても格の高い物から低いものまであります。どんな袋帯、織名古屋帯、染帯でも構わない訳ではありません。晴の場に締める帯ですから格の高い染帯が良いと思います。
  その呉服屋さんが「格がある帯だ」と仰っているのでしたら構わないでしょう。  
  いつも申し上げる事ですが、きものを着る場合に一番大切にしなければならないのは、 「何に何を合わせるべき」という事よりも、その場の雰囲気に合っているか、その場の人達に不快感を与えはしないかということです。
  桜の染帯・・・卒業式にぴったりですね。桜の咲く頃の入学卒業というのは日本の風物詩ですよね。
 現物を見ずにいいかげんな事も申し上げられませんが、私が申し上げられるのは以上です。
 何を隠そう、私も二人の子供が今年卒業、そして入学します。さしあたって二回の卒業式、謝恩会に何を着たものか、女房が迷っています。あれやこれや迷うのも楽しみの一つですね。
 長くなってしまいましたが、納得いただけたでしょうか。分からなければまたご質問ください。わかる範囲でお答えいたします。

 ゆうきさま、ありがとうございました。
  何よりも、せっかく着物を着るのですから「周りの人に不快感を与えないこと」から判断いたしますと、自信を持って納得してきることができる気がいたしました。
  ゆうきくんの仰った通り、色無地に季節感のある染め帯などはお茶会にも相応しいのでどんどん実践してみたいです。 本当に微妙なところで格を出したり、ちょっと気軽にできたり、知識を持つことができれば着物とは、女性にとってはずいぶん便利なものですね。
  小学校の卒業式は家から歩いてほんの近い距離なので、お式といえど、私の意識の下ではちょっと気が楽なのですが、入学式となると、今度は電車で1時間かけてまいります。 そうなると、またちょっと気分的に袋帯か・・・と構えてしまいます。 そんなことで決めていいのか・・・というところですが(笑)。
  せっかくの桜の帯ですので入学式にも・・・というところなのですが、 実はその学校は桜名所で有名な公園に隣接しております。 帯の柄よりもはるかに美しい桜吹雪の下を娘と歩いて帰ることを想像しますと入学式にはちょっと遠慮したほうがいいのかなと、日本人的に謙虚な(笑)気持ちになってきました。
  それにつけてもあれこれ思い悩むのは楽しいことのような気がいたします。 季節やら、しきたりやら、周りの方との調和やら、あれこれ慮って、本当に自分は日本人なのだなあ・・・と嬉しい気がいたしました。

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