64.漆の着物  
 初めまして、着物について色々と検索しているうちにこちらへたどりつきました。 博物館とても楽しくいつも読ませていただいております。
  お尋ねしたいことがあるのですが、母が遺してくれたものの中に漆の着物と羽織があります。鈍い光沢がとても素敵なのですが、どのように、またどこの地方で生産されているのか教えていただけますでしょうか。
祖母、母とも常に着物で過ごしておりました。小規模ですが、五月に着物展を開くことになり、ただ今勉強中です。よろしくお願いいたします。

 漆の着物についてですが、漆の縫い取りの着物や羽織は昭和30年代に流行したようです。私の母も数枚持っています。
  産地についてのご質問ですが、私は分かりません。漆の糸を使っていますが格別漆の産地に関係あるわけではありませんので、産地と言えば丹後、浜、桐生あたりだと思います。かなり出回ったようですので複数の産地で生産されていたかもしれません。
  どちらにしましても、適当な解答をするわけには行きませんので、宿題にさせてください。白生地屋に聞いて見ます。分かりましたら書き込みます。少々お待ち下さい。

 ゆうきくんさん:ありがとうございます。
  ついでと言っては何ですが、帯で、”ふくさ帯”と、上書きがあるものがいくつかありますが、見ると裏表使える、今で言えばリバーシブルだと思いますが、お茶の袱紗からきているのでしょうか、最近は使われない呼び名なのでしょうか?
  母は、30年前に亡くなっており、着物からすっかり離れてしまっていた私は、わからないことばかりでお恥ずかしいです。よろしくお願いいたします。
 袱紗帯(ふくさおび)という言葉は最近聞かれませんが、柔らかい生地で作った腹合わせ帯を指して言っていたようです。
  腹合わせ帯というのは、表裏異なる二枚の布を張り合わせて作った帯で、元禄時代から戦前あたりまで作られていたようです。別名、昼夜帯とか鯨帯とも言います。
  初めは黒のビロード地と白繻子地で仕立てていたので、黒と白、昼と夜、白黒の鯨縞に喩えてその名になったそうです。
  「袱紗」には、「簡単な」とか「略式の」という意味もあります。袱紗小袖というのもあり、これは正式な小袖(熨斗目小袖)に対して略式の小袖のことを言います。正式な帯と言えば、唐織や綴れなど手の掛かった帯を連想しますが、初めは腹合わせ帯というのは庶民が締める為に略式に作ったもののようです。その腹合わせ帯の中で、羽二重地や縮緬、綸子などの柔らかい生地で仕立てたものを袱紗帯というようです。
  柔らかいという意味ではお茶で使う袱紗に通じている意味もあるかもしれません。 腹合わせ帯は上記のような帯ですのでリバーシブルで使うことは可能です。しかし、袱紗帯という名称が直接リバーシブルを意味するものではないようです。
 ゆうきくんさん:どうもありがとうございます。お返事を頂いて、一度に色々な疑問が晴れました。
  合わせ帯、昼夜帯の上書きもいくつもあります。ご説明頂いた通り、繻子と絞りを合わせたもの、挽き茶色の繻子に片面は繊細な日本刺繍で、もう一方はぽってりとしたフランス刺繍だったり、絽昼夜帯は黒と白の絽に、それぞれ夏らしい模様が染めてあったりで、裏を返したときのはっとした驚きが楽しいのです。確かに袱紗帯は柔らかな縮緬です。
  お忙しいのに丁寧なご説明、本当にありがとうございます。少しでも着物の知識が増えると楽しいものですね。日本人で良かったと思います。

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