73.縮んだ留袖   
 はじめまして。着物サイトを色々まわっていたら、 こちらのホームページに辿り着きました。 詳細な説明と共に回答されているのを拝見して、1つ お尋ねしたいことがあって、投稿させて頂きました。
 実は、クリーニングに失敗した留袖(正絹、黒羽二重)を持っています。 数mmの違いではありますが、胸の紋が左右非対称の位置にある上に、 比翼(八卦)が表の生地から5mm程はみ出すので、おそらく表の生地が 縮んでしまったと思われます。
  着付けの練習用に知人から頂いたので、この黒留袖を着て出かけることはないと 断言できますが、何度も使ううちにはクリーニングに出す機会もあると思います。
  それで、クリーニングの際に元の状態に戻すことは可能でしょうか? 元の状態とは、せめて胴裏が出ないように、生地を伸ばしてもらう−という意味です。もちろん呉服のクリーニングを専門に扱うお店に出すつもりですが、何か別の専門技術を必要とするお店あるいは工場をご存じでしたら、教えて下さい。
  新参者ですが、どうぞよろしくお願いします。

 クリーニングで縮んだ生地に付いてのご質問ですね。
  この問には私よりも詳しく、ピッタリな方がおられます。 私のページにはどちらからリンクされたでしょうか。 「旅から旅」のページはご覧になられたでしょうか。「旅から旅」のページと私のページはリンクしています。
  実はこのコーナーは私のページではなく、「旅から旅」のサーバーに間借りしているのです。旅から旅さんは悉皆、直しのプロですから私よりも適切な解答がもらえます。旅から旅さんの出動を要請しますので、少々お待ちください。

 個人的には、ゆうきくんの見解も聞きたかったのですが、出動依頼をいただいたからには、速攻でお答え致しましょう。 いつも、ゆうきくんには、お世話になっていますからね。 では、また。(旅)

 黒留袖をお持ちなのですね。 黒羽二重と書いておられますが、たぶん、表地が一越縮緬で比翼が白の羽二重なんじゃないですか? そうじゃないと、表地が縮んで、比翼が顔を出すという状況には至りません。

 数ミリの違いで左右非対称になった胸の紋ということですが、この事に関しては、 表地が縮んだ事と因果関係があるかどうかは、断言できません。 というのも、数ミリと言えば、尺で言うと、一分(いちぶ、3.7ミリ)です。 琴子さんは驚かれるかもしれませんが、仕立てで一分くらい違ってくるのは、 許容範囲なのです。
  つまり、もともと、左右非対称だった可能性もあります。 また、比翼が表地よりもはみ出すと言うのも、よくあることです。
  さて、問題は、クリーニング屋さんが、縮めたのか、それとも、着ているうちに、 段々と表地が縮んで行ったのか、これは、クリーニングに出すまえに、縮んでいたか、いなかったかを、証明しなくちゃならないのですが、そんなことは、もう、誰にも出来ないですよね。
  さて、一般論として、クリーニングで一越などの生地が縮むかどうか、ということなのですが、クリーニングの溶剤に水が混合されている場合は、残念ながら、生地は縮みますし、色も出ますし、金加工も剥げます。 専門店では、溶剤に入れる前に水を使って、汗抜きや水シミを除去するという工程をし、その後、有機溶剤で普通のいわゆる「京洗い・丸洗い」をします。 しかし、安い価格の丸洗いでは、水を使ったしみ抜きの工程を飛ばすために、溶剤に水を加えてしまうという荒技をするようです。
  クリーニングも、同じように見えて、実はいろいろあるんですよ。

 クリーニングで、縮んだ表地を伸ばすというのは、至難のワザです。 もちろん、心持ち、生地を引っ張りながら伸ばせば、すこしは、マシになるかもしれませんが、スカッと直るということはないですね。
  こう言う場合、今までは、解いて洗い張りをし、仕立て直すということをしてきました。でも、これをするには、費用がけっこう、かかってしまうという欠点があります。
「解かずに、なんとかできないの?」っていうとき、昔から、どうしているかというとですね、「そりゃ、泥縄だわ」と言われそうですが、裏地をはみ出ている分だけ、つまんで縫ってしまう。 こういうことは日常茶飯事に行われてきました。
  琴子さんも練習用と割りきっておられるようだから、はみ出ている分だけつまんで、縫われてはどうでしょうか? それが、着物上級者になっていく道かもしれませんよ。 では、またね。(旅)

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