96.宝尽くし文様について教えてください
 結城くん、どうぞよろしくお願いいたします。
  大き目の宝尽くしがぼんぼんぼんとついた羽織があります。 模様は写実的なものではなく、デフォルメした縁取りの中を摺り匹田でつめた柄が飛んでいます。
  お色目も地色が黒なのとともにシックでどちらかというとカジュアルなのかなあと思うのですが、お目出度いとき以外にも紬などの上に気軽に着られないものかとお尋ねいたします。
  どうでしょうか、もちろん、お正月などには相応しいと思いますが、四君子と同じようにお出かけ程度にもおかしくはないでしょうか。

 このご質問にはちょっと答え難いものがあります。
 一つは現物を見ていないということ。想像だけではっきりと責任持って答えられません。
 第二に現物を見たとしても、「○○柄は××の時には着られ、△△の時には着られない。」と一線を引いてしまうことに躊躇を覚えます。どうしてもきもののしきたりに一線を引いてしまいたくなりがちなのですが、しきたりに一線を引く事は良いことではないと思っています。
  全国統一して一線を引ければ良いのですが、それぞれに基準の違う一線を引き合えば、きもののしきたりどころではなくなってしまいます。初めてきものを着る者にとってははっきりとしたしきたりがあれば安心してきものを着ることが出来るわけですが、実はそうでないところにきものの面白さもあるように思えます。
 もう一つは、結論付けた事が一人歩きすることです。「宝尽くしは○○には着られません」と言った事が思いも寄らない方向に行かないとも限りません。
 以上の事を含んでいただいた上でお答えします。
 まず、はっきりと言える事は宝尽くしはおめでたい柄(吉祥文様)だということです。こんなことは言わなくても分かっていると思います。従って、弔事には使いません。一線を引けるのはここまでです。
 問題の羽織は、生地は何でしょうか?柄の大きさは?金糸銀糸は?・・・・それらがその羽織の用途に微妙に関わってくると思います。
  要は、その羽織が羽織る場面に相応しいかどうかです。お出かけに羽織った時にどのように周囲の人に映るでしょうか。どこか慶事に向かう人にみえるでしょうか。それともお洒落に羽織っているように見えるでしょうか。
 はっきりと答えられなくてすみません。私が答えられるのはここまでです。

 ゆうきくん、ありがとうございました。

> まず、はっきりと言える事は宝尽くしはおめでたい柄(吉祥文様)だということです。こんなことは言わなくても分かっていると思います。従って、弔事には使いません。一線を引けるのはここまでです。

 はい、おめでたい柄なので常識的にはお正月、初釜、お出かけとしても新年の一月中、あとは個人的なお祝いの機会に・・・などと想像いたします。

> 問題の羽織は、生地は何でしょうか?柄の大きさは?金糸銀糸は?・・・・それらがその羽織の用途に微妙に関わってくると思います。

 生地は全体的に6ミリくらいの格子の地模様でところどころに4センチくらいの太い大きな格子が飛んでいるカジュアル感のある黒地のものです。 金糸銀糸は使われていません。 私の素人考えでは、生地自体がカジュアル系であるような気がいたします。
  その地に直径7〜10センチほどの大きめな打ち出の小槌や祇園守り、分銅、丁子、花輪違などがぼんぼんぼんと飛んでいます。 繊細な糸目というのではなく、太目の渋い紫やブルーグレーの縁取りの中を同色の匹田をつめてあります。 お色めもおめでたいと言うより、シックなおしゃれ系な感じです。
  もしも、この方法で桜や玩具尽くしなどの柄でありましたなら、迷わずカジュアルに羽織ったと思うのです。 ですが、吉祥柄で名高い宝尽くしですので、はて・・・と微妙に心配になりました。 もちろん、相応しくないような場では着用しないつもりでおりますが、ちょっとしたお出かけの場面にも遠慮したほうがよいのかどうか・・・今回のもののように雰囲気がおしゃれ系のものはその辺のボーダーといいますか、しゃれで着てしまっても許される範囲であるのかどうか、お尋ねいたしたいと思いました。

>要は、その羽織が羽織る場面に相応しいかどうかです。お出かけに羽織った時に
>どのように周囲の人に映るでしょうか。どこか慶事に向かう人にみえるでしょうか。それともお洒落に羽織っているように見えるでしょうか。

 慶事には黒地でも一越ちりめんに金銀が入ったり、写実的で染めのお色も多色であったり、なんとなくもっとフォーマル感があるような宝尽くしを羽織るような気がいたします。

> はっきりと答えられなくてすみません。私が答えられるのはここまでです。

 こちらこそ、申し訳ありません。とても微妙な質問であったかもしれません。
  おめでたい柄とは言ってもカジュアル感があるのである程度、気の置けない友人との新年会などちょっと範囲が広がる・・・くらいに考えておけばいいのかもしれません。
  純粋に文様を文様として本来の意味から離れて楽しむように着るというのは常識的な方からするとおかしなことと思われるのでしたら、そんな着方はあまりしたくないなあ・・・と思ったりいたします。 やはり、季節や礼節の約束事には美しいものがありますのであまりかけ離れてもかえってつまらないような気もいたします。 ただ、宝尽くしという模様自体が実際に現物を見たことのない私にとっては想像上の文様なのでなかなかはっきりとそのお役目がイメージできない世代なのかもしれません。

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