全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅱ-ⅶ 無料着付教室(その2)
着物を着たいと思う日本の女性は多くいる。まだまだ日本の着物は捨てたものではない。外国人の目には日本の着物がとても華やかに映るらしい。日本人の女性はどんな洋服よりも着物が似合うと思うのは私だけだろうか。
着物を着れない女性は着付けを習う。自分で着物が着れる様になると着物が着たくなる。そして、着物が欲しくなる。自然の流れである。
呉服屋で着付けを教えている処は多い。お客様が着付けを覚えてくれれば着物が欲しくなり、着付けを教えてくれた呉服屋で着物を仕立てる。これも自然の流れである。
呉服屋にとって、お客様に着付けを教えることは商売に繋がる。商売として極当たり前の話であるが、「無料着付教室」といわれるものの中には此れとは違ったものがあるらしい。
ある消費者が「無料着付教室」で買ったという江戸小紋を持ち込んできたことがあった。価格は20数万円だったという。「無料着付教室」では着付けを無料で教えるだけでなく着物を販売している。
その江戸小紋は見る人が見ればすぐに分かる捺染の江戸小紋である。通常の小売価格は6~7万円程度だろう。そして、その江戸小紋は先生のような人が、着物の講習会と称して「これは手で染めた型染めです。」と言って販売していたという。また、そのような展示会、販売会、講習会は度々行われると言う。
そのような話を聞くと、私はつい疑ってしまう。前述した「展示会」「消費者セール」などと同じように、あの手この手の商法ではないかと言うことを。
全ての「無料着付教室」がそうであるとは限らないが、無料で着付けを教えることを餌に消費者を集めているのではないか。そして、売るためだけの目的で商品の価値はないがしろにされていないのか。
無料で着付けを教えてくれることは業界にとってもありがたいことである。着付けを教えたお客様に着物を買っていただくことも問題はない。しかし、最近の業界の風潮にのり、消費者の判断を狂わせ、ただ売るため(買わせるため)だけの販売に繋がらないことを祈っている。
「展示会」「消費者セール」「無料着付教室」いずれも消費者にとって有用な面もある。しかし、今の呉服業界では落とし穴があることを自覚し、懸命な対応をしていただくことを消費者に望みたいものである。