全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅲ-ⅲ 本当のきもののしきたりとは(その9)
ゆうきくんの言いたい放題
きもののしきたりは日本のしきたりにリンクしている。いや、日本のしきたりそのものであるべきだ。
その観点から考えると、巷でささやかれている着物のしきたりは、なんと浅薄であろうか。
偏狭な決まりで語りつくせるほど日本の文化は単純ではない。きもののTPOの早見表で表せる程きもののしきたりは単純ではない。何が本当のきものの常識、しきたりなのかもう一度広い視野に立って考え直すべきと思う。
「本当のきもののしきたりとは」と言う表題で話を進めてきたが、具体的な結論を期待しておられた方は拍子抜けしたかもしれない。しかし、きものは日本の文化であり、日本の文化、常識とは何なのかを良く考えていただきたいのである。
きもののしきたりを云々して他人の装いを否定するなど日本人の常識に合致するだろうか。
どうしてもきもののしきたり、常識を成文化しなければならないとするならば、私は次の一言だと思う。
「他人に不快感を与えないきものを着る事」
着物には決して型にはまった規則はない。しかし同時に、独りよがりの着物を着てはならない。誰しもが快く受け取ってくれる着物を着て、それでいて自分の趣味、センスが生きるきものを着る。それこそが着物を着る楽しみでもある。
この章「本当のきもののしきたりとは」はこれで終わります。このコラムは『ゆうきくんの言いたい放題』なので、また思いついたら「きもののしきたり」について書くかもしれません。
次回からは、これから呉服業界、きものを取り巻く環境の問題について考えます。