明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅳ ⅷ 減少する商品

ゆうきくんの言いたい放題

きもののメーカー、すなわち織屋染屋が減っている。利益が出ない、後継ぎがいない等の理由で廃業するメーカーもあるが、倒産破産するメーカーも少なくない。

先日、西陣の老舗織屋「北尾織物匠」が店を閉じた。「北尾織物匠」は高級袋帯の織屋として有名だった。高価な帯なので、私の店でも中々買い取ることはできなかったが、お客様に注文を受け、いくつかの織屋の中から同織屋を指名して袋帯を取り寄せることもあった。伝統的な織を守った本当の老舗織屋だった。

西陣織協同組合では加盟する織屋に番号を付与している。(「フォトトピックス10. 西陣の証紙が変わりました」参照)「北尾織物匠」の織屋番号は7番。組合設立の時のチャーターメンバーは三十数件だったらしく、そこまでは五十音順に番号が付与されている。今まで織屋番号は二千数百付与されているが、廃業した織屋番号は欠番となっている。1~6番までは既に廃業している。「北尾織物匠」の7番が現在最も若い番号だったが、これも欠番となり、今筆頭は8番の「泰生織物」である。その「泰生織物」も数年前規模を大きく縮小して帯を織り続けているという。

既に多くの織屋が姿を消してしまった。生産量も激減している。呉服業界の販売額の激減を考えれば、ある意味適正な縮小と見れなくもない。しかし、問題はもっと深いところにある。

西陣の帯は織屋によって全く違った顔を見せる。帯にはその織屋が織る作品に特徴があり、他の織屋とは違った雰囲気の帯が織られている。見慣れた織屋の帯であれば、見ただけでどの織屋の帯かが分かる。着物に合わせる帯を探すとき、昔は多くの織屋の帯の中から最も似合う帯を選ぶことができた。

しかし、今は織屋の数が少なく、選べる帯の数は限られてきている。仕入れする時にも、あらゆるお客様の要望に対応できるように、できるだけバラエティに帯を仕入れようと思うけれども、最近は難しくなってきた。私が仕入れてきた帯を見て、「また同じような帯を仕入れてきたの。」と女房に言われることもしきりである。織屋の減少は、帯の生産量の減少のみならず、帯の選択肢の範囲が狭まる一因となっている。

それでも、袋帯の場合は、需要の減少にリンクして量的に不足感はない。京都に仕入れに行けば、高級品から安価な帯まで山積みされている。しかし、名古屋帯は品不足が否めない。

昔から大手の織屋は袋帯から名古屋帯、織屋によっては角帯や半幅まで織っていた。織屋の中には、黒共帯専門の織屋や子供用帯(丈二)を織っている織屋もあったけれども、ほとんどの西陣の織屋は袋帯、名古屋帯織っていた。

しかし、最近、名古屋帯を織る織屋が急速に減ってきたように思える。ある問屋さんの話では、「今、まともな名古屋帯を織っているのは○○と××だけですよ。」と言う。

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