明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅵ-ⅴ 寿司ときもの(その3)

ゆうきくんの言いたい放題

外国人が着物に興味がある以上、着物を海外に広めたい、または商売につなげたいと云う動きが出てくる。海外で着物を着てくれれば日本人としては嬉しいし、需要が増えれば衰退して行く着物の産地にも良い影響があるかもしれない。そう思う人もいるだろう。
しかし、外国人は呉服屋やデパートで着物を買うことはない。一番のネックは価格だろうし、実際にパーティでも普段でも外国人が着物を着る事はまずないだろう。
彼らが買って行くのは、土産物店に並ぶ「KIMONO」である。国際空港の売店や浅草などの観光地でよく見かける。「KIMONO」とは言えバスロープのようなもので、いわゆる着物ではない。せいぜい日本の香りのするものかと思えば、毒々しい竜や富士山、芸者(正しくは芸者ではなく花魁)が描かれている。マネキン人形に着せられているが、そのマネキン人形の頭には特攻隊よろしく日の丸の鉢巻きが巻いてあったりする。以前からそのようなものが姿を消さないところを見ると良く売れるのだろう。
着物を海外に紹介するのはおかしなことではないが、これが「着物」として海外に広まっていったとしたらどうなるのだろう。
〇〇ロールが日本の伝統料理である寿司、今の「JUDO」が日本の柔道、そして日本の「着物」は「KIMONO」と云う認識が世界中に広まる。それを「日本の文化が世界中に広まった証」と捉えられるだろうか。
外国でどんな寿司が創られようと、日本人が文句を言う筋合いではない。まして、それが美味しく、その国の人達に喜ばれているのであれば尚更である。国際JUDOはルールを日本人が独断で決めるわけには行かない。
日本の着物とは似ても似つかないものを「KIMONO」と呼ばれても何ともしようがない。
日本人のみならず他の国の人達にとっても、内的に自分達の文化を守り継承することと、自国の文化を世界に紹介、あるいは普及させる事との間には越えられる一線があるように思える。
この先、日本の着物や伝統文化をどのようにしてゆくのか、それは日本人が真剣に考えなくてはならない事である。

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