明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅵ-ⅵ 古い着物はどうしたらよいか (着物のメンテナンス) (その2)

ゆうきくんの言いたい放題

【きものの仕立替】

上述したように、着物は洗い張りをして仕立て替えることができる。ただし、無条件にどのような寸法でもできるわけではない。

きものには、それぞれの寸法がある。着物の持ち主と、仕立て替えようとする人の身長体系がほぼ同じであれば、ほぼ間違いなく仕立て替えはできる。寸法の中でとりわけ仕立て替える際に問題となるのは、「身丈」「袖丈」「裄丈」である。

「身丈」は、その人の身長によって決まる。

身長だけでなく、腰紐をどの位置にするのか、その人の着方によっても身丈は左右される。腰紐を上にする人は身丈が長くなる。反対に腰紐を下にする人は身丈が短くなる。腰紐の位置により、おはしょりのつまみが大きくなったり小さくなったりする。腰紐の位置を変えることによって、自分の身丈とは少々違った着物でも着ることができる、といったメリットもある。

仕立て替えで身丈を変える場合、身丈を短くすることは容易にできる。つまり、身長の高い人の着物を身長の低い人用に仕立て替えることはできる。その反対に、身長の低い人の着物を身長の高い人用に仕立て替える場合、身丈を伸ばさなくてはならない。短い布を長くすることはできないが、方法としては二つある。

着物を仕立てる際、あらかじめ身丈を長く仕立て替えられるように「内揚げ」をしている着物がある。「内揚げ」とは、身丈寸法を必要以上に生地を裁ち切り、余分な分を胸のあたりでつまんで襞をとって仕立てる。洗い張りをして伸ばせば、より長い生地になって、その分身丈を伸ばすことができる。

仕立て上がった着物を見ると、内揚げがあるかないかは容易に見分けられる。胸のあたりに襞がとってある。背中にも襞がとってあるが、これは「くりこし」の為の襞である。前身頃、胸のあたりに襞があれば内揚げがあるのがわかる。

内揚げのつまみが1寸であれば、解けば2寸身丈を伸ばすことができる。1寸5分であれば3-寸身丈を伸ばすことができる。

内揚げがない場合は、身丈を伸ばすことはできないが、更に方法がある。

余り布があれば、これを剥いで身丈を伸ばすことができる。剥ぐのは帯の下に隠れるような位置で行うが、小紋など染物では、剥ぎが目立ってしまうので余り行わない。紬やウールなど、極普段着を仕立て替える際に行われる。つぎはぎで着物を仕立てるようだけれども、生地を大切に、最後の最後まで使おうと言う先人の知恵のようで、そういった着物の着方をされる方には喜ばれる。

以上は、小紋や紬の話で、訪問着や留袖など、いわゆる絵羽物ではこれとは違ったルールがある。

つづく

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