明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

ⅴ-ⅲ 良いきものの証(その10)

ゆうきくんの言いたい放題

⑦ 証紙

きものの購入する際、その目安とされるものに「証紙」がある。「証紙」は品質を保証する為に商品に添付あるいは刻印されるものである。きものの事をよく知らない人にとっては都合の良いものかもしれない。

きものに添付される証紙といえば・・・実に沢山ある。(沢山あった、と言った方がよいかもしれないが。)西陣織、博多織、京友禅、日本の絹等々。いずれもそれ相応の意味がある。しかし、その証紙の意味するところを正しく理解しなければ、かえつて誤った判断になりかねない。

西陣の証紙は、数あるきものの証紙の中でも私が一番敬意を表する証紙である。証紙に表示される内容は、時代や法律とともに若干変遷したものの、長い間権威を保持し続けている。証紙の中には、なし崩し的に権威を失ってしまうものもあるが、西陣の証紙は「めがね証紙」と呼ばれる形状とともに今日に至っている。

この証紙の意味するところは、「西陣で織られた帯であること」「織屋毎の番号が記されて製造元を特定している」ことである。昔は「正絹」と記されて、品質を保証していたが、法律の改正(改正ではなく解釈の変更と言った方が良いかもしれない)によって証紙に品質は記されなくなり、代わりに品質を記載したシールが貼られるようになった。(この辺の事情については「フォトトピックス10.西陣の証紙が変わりました」を参照してください。)

「西陣で織られた」と言うのは、最近多い中国で織られた帯ではないという意味でもあり、換言すれば「この帯は西陣織工業組合加盟の織屋が織った帯であることを証明」する証紙である。それをどのように解釈するのか。

以前、お客様に「これはどこの帯ですか。」と尋ねられ「西陣です」と答えたことがあった。するとそのお客様はとても感心したように「ふーん、西陣の帯ですか。」とまじまじと帯を眺めていた。

西陣の帯という言葉は特定の帯を意味するものではない。西陣では手織りの帯、爪掻綴から汎用品の帯まで作っている。そのお客様は「西陣の帯」と言う言葉に高価な工芸品を連想したのかもしれない。

「西陣の帯」の意味するところを正しく解釈しなければ判断を誤りかねない。

証紙に記された「織屋番号」も同じである。

織屋番号は西陣織工業組合に加入した順に番号が与えられている。最初のチャーターメンバーは五十音順に付されたが、それ以降は加盟順である。それ故、早い番号の織屋は昔からある織屋であるということは言える。しかし、後から加盟した織屋にも老舗は多い。

ちなみに、最も古い織屋と言われる「紋屋井関」は織屋番号が1318である。番号の遅い織屋は老舗ではないというわけではないし、まして良い織物を織っていないということは全くない。西陣の織屋は等しく良い帯を織る為に努力している。

西陣の証紙は商品を保証するのは間違いないが、消費者の判断は正しく行わなければならない。

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