全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
ⅴ-ⅲ 良いきものの証(その6)
国産の絹糸の品質はずば抜けている。絹糸の品質と言えば、均質性と細さである。
白生地屋さんが白生地の学術的なシンポジュウムの資料を見せてくれたことがあった。日本の繭である小石丸や新小石丸等日本産の絹は均質性と細さにおいて数値的に証明されていた。
富岡製糸工場が世界遺産となり国産白生地のキャンペーンが行われたが、持ち込まれた白生地は品質の良さが感じられた。どのように感じられたかと言えば、私は反物を巻いた時感じられた。私はこの業界に入ってこの方どの位の反物を巻いただろうか。
反物の巻き方は簡単なようだが難しい。慣れてしまえば簡単なのだが私も最初は苦慮していた。両手の薬指と小指使って反物を送り巻いてゆくのだが、国産の反物の感触は明らかに違っていた。一口で「サラサラ」としか言いようがないが。
さて、国産と一口に言ってしまったが、この定義がまた難しい。繭から白生地になるまでには沢山の工程を経てできる。大きく分ければ四工程である。
1.繭から生糸を採る ・・・ 製糸
2.糸を撚る ・・・ 撚糸
3.生地を織る ・・・ 製織
4.生地を練る(糊を落とす)・・・ 精錬
白生地業界では国産の繭からこの全ての工程を国内で行ってできた生地を「純国産」と言っているようだ。全て海外で行うものもあるが、海外の繭を使い一部の工程を国内で行うものもある。
最後の工程である精錬だけを国内で行っているものもある。それらは生地の端に「精錬-日本」と刻印してある。消費者にとっては日本製なのかどうか、またどれだけ品質を保証するものなのか分からない。
現在の白生地は上記の理由で玉石混淆の状態にある。昔の様に「しっかりとした生地」「重い生地」だけでは判断ができなくなっている。消費者が生地の良し悪しを判断するのは難しくなっているのではないだろうか。
私は誤解を恐れずに言えば、消費者には「生地の良し悪しはそんなに気にしなくても大丈夫ですよ。」と申し上げたい。もちろんこれには前提が伴う。
つづく