明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ.きものつれづれ 45.(呉服の)商売とは?(その2)

ゆうきくんの言いたい放題

 展示会も行っていたが、訪問して勧誘する事もなく電話勧誘する事もなく、着物が欲しい人に来店いただいて、必要にして十分なだけの売上を創っていた。

 しかし、それをよそに業界では、大規模な展示会、消費者セール、組織販売による売上の急伸が景気よく報じられていた。問屋も展示会や組織販売への商品供給に一生懸命で、私の店のような小さな呉服屋には目を向けなくなる問屋もあった。

 一度、大手の問屋に展示会の為に商品を貸してくれるよう頼んだが、
「お宅は展示会の歩留まりが悪いので・・・」
と断られてしまった。

 私の店では、その問屋からは商品を買い取って仕入れている。買取もしない小売屋に大きな展示会を催すからと言って大量に商品を浮き貸しし、商品を買い取っている店には規模が小さいからと商品を貸し渋るのは商売の仁義に反すると思ってたいたが、案の定その問屋は倒産してしまった。倒産して他の問屋の傘下に入ったが、未だに展示会で商売をしているという。

 さて、時代の波に乗って急成長していた呉服屋もそう長くは続かなかった。膨れ上がった売上を抱えたナショナルチェーンは見る見るうちに売り上げが二分の一、三分の一に減って行った。時代の寵児としてもてはやされ急成長した呉服屋は次々と倒産して行った。

 果たして、手本にすべき企業と思っていた「たくさん儲かっている会社」「急成長して大きくなった会社」「大きな会社で従業員も沢山雇っている会社」は、意外と脆く、短期間に姿を消していった。

 呉服業界以外でも、手本にすべきと思っていた企業が脆くも凋落する例は後を絶たない。

 IT関連のメーカーやソフト会社は日常茶飯事である。日本が世界の最先端と思っていた物も直ぐに外国にシェアを奪われ身売りする例も多い。

 アパレルメーカーも流行に左右され浮き沈みが激しい。アーノルドパーマーやアクアスキュータムと言ったブランドを抱え、世界最大のアパレルメーカーと言われたレナウンも業績不振で株式会社レナウンは登記上消滅し、中国企業に身売りしている。

 企業の急成長、大規模化は企業を預かる者の夢であり、それは私も変わらない。しかし、現実はそれを持続する事がとても難しい事を現実は突き付けている。

 呉服業界の場合、風船が縮むが如く業界が縮小する中に有って、無理に成長しようとしたのが誤りだった。売れない着物をむりやり売る為のあの手この手の販売は、いつか限界が来るのを誰もが悟っていただろう。一時の急成長は健全な成長とは言えない。時代の趨勢を判断しながら自分の商売の限界を見定めなければ企業として生き残ることはできない。

つづく

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