全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅶ-46 呉服屋コロナ騒動「日本経済はかくも脆弱か?」その2
世の中は益々異様な雰囲気になっていました。時折街を歩く人たちはマスクを付け、人とは接触しないように歩いています。何かパニック映画でも見ている気分でした。
そんな時、友人がマスクを持ってやってきました。以前、私の店で買った手拭を素材にして創ったものでした。
「これお店に置いたら売れるんじゃない。」
巷ではマスク不足が盛んに報道されていました。その方は手芸の趣味があり、以前も一閑張の籠やしめ飾りなど、手芸品を持ち込んで店頭で販売したこともありました。
私の店でマスクを売った経験もないし、売れるのかどうかも分かりませんが、とりあえず持ってきたマスクを数枚店頭に並べました。
ところが、たまに店に入ってこられたお客様が目を付けて買って行きます。追加で制作を頼み、20枚程度並べるとたちまち売れていきました。他の商品が全く売れない中、「手作り手拭いマスクあります」の張り紙も功を奏した様でした。
友人には、「売れるからもっと作って」とお願いしましたが、できるのは1日 10枚程度。それでも売上の足しになればと販売を続けていました。
山形市では昨年から「山形市売上増進センター」(通称Y-biz、ワイビズ)を立ち上げて、中小企業の経営コンサルを行っています。
私も昨年正月に設立されるや否や世話になり売上増進の相談をしていました。お願いしていたのは、ホームページの充実を図ることで、今ご覧いただいているHPはその成果です。
月に一度のペースで相談に行くのですが、3月に伺った時、何気なくマスクの画像を見せ「これ売れるんですよ」と言うと、相談員の目つきが変わってきました。そして、
「これ行けますよ」
と言う事で、WEBの話はそっちのけでマスクの販売の話となりました。
・素材は店頭にある手拭で、柄は40種あること。
・縫製の品質は間がいない事
を話し、同時に
・量が確保できない
・40柄をMLサイズ展開で作るとすると膨大な在庫が必要になる
等の問題も同時に話しました。その相談員は、
「40柄から選べるのは大きなアドバンテージ」
「今マスクの需要はあり、量的には売れる」
「マスクの購買層は着物の購買層とは重ならず、より多くの人に結城屋をアピールできる。」
「ポストコロナを見据えても、結城屋さんの販売商品の一つとして扱えるでしょう」
それと同時に、
「マスコミ等で話題に載せれば必ずいけます」
と言う事だった。
今、店では何も売れない。まして絹物は全く売れない。そして私はなすすべもなく時間を持て余している。
「それでは」と本気になってマスクの販売を掛かった。
つづく