明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-49 時代の転換点・商売の転換点(その4)

ゆうきくんの言いたい放題

 このような商売の転換点に立った時、二つの道がある。

 一つは、今迄の商売を何とか続ける道である。売上の萎んだ展示会を何とか維持して売上を確保しようとする方法である。あの手この手の集客は正にその方法である。

 もう一つは、それまでとは全く違った商売の方法を模索する事である。この場合には展示会に頼らずに商売を続ける方策を考える事である。

 実際には、展示会で何とか売上を維持しつつ、展示会なしでの商売を考えるのか現実的な道である。どちらにしても、今の商売の行き着く先はどうなるのか、他の商売の方法で果たしてうまく行くのか、必死で商売をしなければならない事に変わりはない。

 昭和30年代以来続けてきた展示会をやめることは、結城屋にとって命とりにはならないのか。来場客数が減ったとはいえ一回の展示会での売り上げはそこそこあった。それを捨てて他の売り上げで穴埋めできるのか。当時は自分でも分からなかった。

 しかし結果は、と言えば、私の店は未だに商売を続けている。最良の選択だったかどうかはわからないけれども、少なくとも廃業に追い込まれる結果にはならなかった。とは言え、ただ安穏として商売をしていたわけではない。細ってゆく展示会商売の代わりとなる商売の試行錯誤を繰り返した。

「結城屋きもの博物館」もその一つである。会場を使った総合的な展示会はやめたけれども、商品は単品に限り、消費者に商品を理解してもらい店頭で見ていただくようにした。ごく限られた商品でより効率よく、消費者にも満足いただく商売ができた。その回数60回を超える。展示会以外でも考えれば様々な商売の仕方がある。

 私が経験した商売の変わり目、転換点は展示会だけではない。
先々代からのお得意様が次々と姿を見せなくなった時期もある。これは決して私の店の対応のまずさではなく、時代の転換点だったと思う。

 先々代が出入りしていたお客様は、当時もう70歳を超えていた。孫を連れてきては振袖や嫁入り道具を仕立ててくれた。母親(嫁)と三人で店にいらして品定めをして行く。お婆さまは孫の着物選びに嬉々としているが、母親は余り要を得ない。着物のことがよくわからないのである。ちょうどその頃が、消費者の着物に対する認識の転換点だっただろう。嫁入り前に着物を作るのが当たり前の世代から世の中は変わりつつあった。

 先々代のお客様がいらっしゃらなくなった後は、急激にそのような需要が減ってゆく。

 店の商売が、昔からのお得意様に頼っていた面があったけれども、それが通用しなくなった時代の転換点である。

 その他にも、商店街の来街者の減少、インターネットによる流通環境の激変など様々な商売の転換点に出会った。そして、その度毎に頭の転換を図り対処してきた。

つづく

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