全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅶ-49 時代の転換点・商売の転換点(その5)
さて、この度コロナ禍に見舞われて、ほとんどの業界が被害を被っている。コロナ禍の関連業種の中には極一部売上を伸ばしているところもあるが、それは極一部である。呉服業界も含めて壊滅的な状況である。
4~6月期の日本のGDP国内総生産は何と27.8%減だと言う。生産が従来の四分の三になったと言う事である。そのまま売上には直結しないけれども、売上が四分の三に減ったと言う感覚だろう。しかし、実際に我々呉服業界は影響が四分の三どころではないのが実感だ。
飲食店はもっとひどいと言う。
「飲食店の半分は店を閉めるんじゃないですか。」
と話していた飲食店もあった。
しかし、「ひどい、ひどい」とばかりは言っていられない。誰もが早くコロナ禍が明けるようにと祈っている。
「いつ元に戻るんだろう。」
と周囲で商売している人達は話している。私も早く元に戻ってもらいたいものだと思っている。しかし、新型コロナが流行する以前の状態に戻るのだろうか。
わが国では、第二波がいくらか沈静化してきている様にも思える。うまく行けば来年の春頃にはコロナ収束の宣言ができるかもしれないと言う期待も生まれている。そして、オリンピックも一年遅れで無事開催できるのではないかと。
しかし、日本が沈静化しても諸外国で沈静化しなければオリンピックの開催は困難と言う声もある。確かに日本や中国、韓国の感染者は少なく東アジア人のファクターXも取りざたされている。現在多くの感染者のいるアメリカや南米、インド、ロシアでの収束はもっと先になるかもしれない。
それでは、数年たてば元に戻るのかと言えば、そんなことはないだろう。
ワクチンが開発され世界中の国で新型コロナが収束したとして、果たして元に戻るのだろうか。答えは「否」である。
第一に、コロナは人々の心に大きな打撃を与えた。最もコロナ禍の影響のある業推として航空業界が挙げられるが、コロナが収束して後人々は従来通りに海外に渡航するだろうか。端的に海外旅行である。これまでは多くの人が海外旅行に出かけていた。コロナが収束すれば元通りになるだろうか。
コロナが収束すれば多くの人が再び海外旅行に出かけるのは間違いない。しかし、100%戻るだろうか。70%かもしれないし80%かもしれない。ひょっとして90%に回復するかもしれない。たとえ90%に回復したとしても、その10%の減少は航空業界に与える打撃が継続することを意味している。10%の減少と言うのは、我々商売をしているものには無視できる数字ではない。
コロナ禍を経験した人達は、「人に接しないように」「遠くに行かないように」「集会や劇場には行かないように」と言った習慣が知らず知らずに身につき、消費に間違いなく影響を与えるだろう。
そして、第二に、影響は人々の心の中だけでなく産業構造にも影響を与える。とりわけ呉服業界である。
つづく