明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-50 着物の処分・箪笥の整理 

ゆうきくんの言いたい放題

 最近、着物の処分について相談を受ける事が多くなった。中には遠方の方より電話やメールでご相談を頂戴する事もある。着物の処分と言っても必ずしも廃棄を意味しない。相談者は箪笥に仕舞われた膨大な着物(膨大と感じるのは箪笥に全く手を付けていないせいもある)を前に廃棄も含めてどのように扱って良いのかが分からないでいる。

 箪笥には亡くなった母の着物、自分が嫁入りで持参した着物、主人の紋付や紬、娘の七五三の着物、その他誰が着たのか分からない着物も沢山仕舞われている。

 着物は洋服と違って、流行遅れになれば廃棄すると言う訳には行かない。いや、むしろ箪笥の着物に手を付ける事すら躊躇しているようだ。

 先日、お客様の依頼でご自宅を訪問して箪笥を開いて着物の処分の相談をしてきたが、おかげで箪笥がさっぱりしたと感謝された。

 着物の処分については、「Ⅶ-40 着物の処分・古着」で一度触れたけれども、今回は私が実際に家に訪問して着物の処分の指南をする場合、どのような順序でどのような観点でアドバイスさせていただいているのかを詳らかにしたい。

 近場であれば、参上して実際に箪笥を開けてアドバイスできるけれども、遠方の方はご自分で箪笥を開いて整理できるよう順序立ててご説明しようと思うので参考にしていただければ幸いである。

 さて、より具体的に分かり易くご説明する為に、私が訪問する架空の家庭の家族構成を次の様に想定する。

 依頼したのは70~80歳のご婦人。御主人はなくなり一人暮らし。息子さんと娘さんがおり、いずれも既婚。男孫女孫どちらもいらっしゃる。娘さんは近くで暮らし、息子さんは遠くで暮らしている。

 着物は洋服と違って継承できると言う利点がある。そういう意味で着物の処分を考える際に家族構成を知ることは非常に大切である。箪笥の着物を整理する場合、姉妹子供孫等の家族構成を改めて確認する事が必要である。

 私が相談に伺ってまず、今後箪笥に仕舞われている着物が、着物として着られることがあるかどうかを尋ねる。本人は着物を着るのか、着る機会があるのか。姉妹がいれば着物に興味のある方はいらっしゃるのか、娘さんは着物を着る事があるのか、お茶を嗜む人はいるのかどうか等。

 身内の誰にせよ着物に興味があったり着物を着る人がいれば、自ずと箪笥の着物の整理法が違って来る。

 ここで私が想定した架空の家庭に当てはめて二つのケースについて考えて見る。
一つは、『身内に着物を着る人がいる場合』もう一つは、『差し当たって身内に着物を着る人がいない場合』である。

 ではまず第一のケース『身内に着物を着る人がいる場合』を考えて見よう。

つづく

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