明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-50 着物の処分・箪笥の整理(その2) 

ゆうきくんの言いたい放題

『身内に着物を着る人がいる場合』

 身内に着物を着る人がいる場合、箪笥の整理は比較的簡単である。簡単というのは、箪笥の着物を全て有効に使えるという意味ではなく、着物の処理法が比較的容易に判断されるという意味である。

  身内と言っても様々である。兄弟、息子娘、甥姪、孫、従妹など。必ずしも血族ではなくても、義理の妹や義理の姪と言う事もあるだろう。それら身内を俯瞰して着物を着る人がいれば、それを特定してもらう。

  着物を着る、と言ってもこれもまた様々である。始終着物を着ている人からお茶など着物を着る習い事をしている人。冠婚葬祭や卒入式には着物を着る。また最近着物に興味を持っていると言うのも有力情報である。案外この、着物を今着てはいないけれども着物に興味を持っていると言う人が一番当てになるのだが。

 着物の処理方法としては誰かに来てもらうのが一番である。しかし、その人の年代に合う着物、その人の好みに合いそうな着物であれば全て譲れる訳ではない。ここでまず検証すべきは寸法である。

 その対象となる人の着物の寸法が分かるのであれば話は早いが、分からなければ身長から推論しなければならない。

 一番は身丈である。一般的に昔の人は背が低く、現代人は背が高い。古い着物であれば身丈が短いものが多い。身丈が長ければ短くすればよい、と直感するのであるが、身丈が短いのであれば身丈を伸ばすことができるかどうかを検証する。内揚があるかどうかである。内揚は、将来身丈を伸ばせるように身頃を胸のあたりで生地をつまんで縫い込んである。

 胸のあたりを見れば内揚があるかどうかが分かる。ただし前身頃である。後ろ身頃は繰り越しを採るために内揚がなくても生地がつまんである。前身頃につまみがあれば身丈を伸ばすことができる。どれだけ伸ばせるかは、つまんである生地の長さである。つまんだ長さの二倍だけ身丈を伸ばすことができる。1寸つまんであれば2寸身丈を伸ばすことができる。

 伸ばした身丈で足りるのかどうか。それで着物の運命は決まる。身丈が足りるのであれば、とりあえずとって置く。

 さて、もう一つは袖丈と裄である。袖丈は袖先に縫い込んである生地でどれだけ延ばされるかが分かる。袖先を解かずに触ってみれば分かるけれども、仕立替えや廃棄を前提にしているのであれば解いて測って見ても良い。

 裄は袖付けを解いて延ばす。袖幅は反物の幅を用いるので裁ってあることはない。
      裄丈 = 肩幅 + 袖幅
なので、反物の巾の二倍から縫い代を引いた分だけ裄丈を採れる。現代の反物は幅が一尺あるので裄丈は1尺9寸5分程度まで採れる。しかし、昔の反物は幅が9寸位の物もある。その昔の反物は8寸5分位の物もある。

 従って古い着物は要注意である。現代の若い人は裄丈を長く採るので古い着物では裄丈を確保できない場合がある。

身丈、袖丈、裄丈が十分に採れるのであれば、一次試験合格と言うところである。

つづく

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