明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-51 日本の職人技のすばらしさ

ゆうきくんの言いたい放題

 日本の職人技のすばらしさは良く語られるところである。

 先頃52億kmの旅を終えて戻ってきた日本の宇宙探査船「はやぶさ2」の部品の一部は、日本の中小企業の職人が手作りしたものと言う。円筒形の部品を旋盤で切り出す。マイクロメーターを使って直径を測定すると、どこを測っても正確に3.00mm。0.01mmの狂いもない。

 このような日本の職人技の正確さはよく聞くが、それとは別に職人の物創りに対する拘りを改めて感じさせられることがあった。

 先日近所の法衣屋さんから電話がかかってきた。仏壇屋さんとは、「きもの博物館55.蓮布、藕絲(ぐーし織)」で紹介した法衣屋さんである。

「先輩、少しお時間頂戴できますか。これから伺いますので。」
彼は私の事を「先輩」と呼ぶ。間もなく風呂敷包みを抱えてやってきた。

 彼は相変わらず中国・ベトナム・タイ・ミャンマーに渡って工場を造り、法衣の制作をしている。しかし、昨今の新型コロナの影響で渡航もままならず、また中国から職人を呼び寄せようとしたが、それもとん挫しているという。

 彼は今取り組んでいる商品をどのように国内で販売したらよいのか迷っていた。彼がどんな商品を創っているのか聞いてみた。

 彼が創っているのは基本的には法衣用の広幅の生地である。蓮糸や麻など現地でできる原材料を使っていた。

 中国で作った絹糸をタイ・ミャンマーに持ち込んで草木染めをする話もしていた。タイやビルマでは日本にはない草木染の原料がある。中国の絹糸を持ち込んで染め、その糸を織って袈裟の材料にするという。とても良い色に染まるそうだ。

 それを聞いて私は彼に提案した。
「タイやミャンマーの草木染と言うのは面白いですね。後染めで色無地を染めたら日本の商社はのるんじゃないですか。」
 そう言うと、彼は頭を横に振った。
「それは無理です。染められません。」
中国製ではなくても縮緬の白生地を持ち込んで「タイの〇〇染」として売り出せないのかと思ったが、それはできないという。なぜできないのか。

 もしも白生地の反物を持ち込んで現地の職人に草木染させるとムラができて商品にならない。日本の職人が無地を漬染する場合、染料の中で絶えず生地を揺らして回しながら染料を定着させてゆく。染がムラにならないようにするためである。

 しかし、現地の人達は、生地を染料に漬けてしまえば、後はごろりと横になって色が定着するまで待っているという。

 生地を無地染めするのは無理と判断して先に糸を染めて織る、いわゆる先染めで作っている。先染めの糸を染める場合でも日本の職人は棒を通した糸を染料の中で回しながらムラにならないように染めている。先染めの生地は後染めよりもムラが目立たないとはいえムラなく染まった糸で織った生地のほうがはるかにきれいである。

 このような違いはどこから来るのだろうか。

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