明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-51 日本の職人技のすばらしさ(その3)

ゆうきくんの言いたい放題

 今、日本の染織技術者が激減している。織屋や染屋が店をたたみ、熟練技術者は行き場を失っている。染織技術者だけではなく、高い技術を持つ町工場が採算が合わずに、または後継者がいないと言う理由で廃業している。

 最近、日本経済の凋落が目に付く。かつて電化製品は日本のお家芸で、東芝、日立、ナショナル、サンヨー、シャープと言ったメーカーの白物家電が所狭しと並び、世界を席巻していた。音響製品は、ソニー、パイオニア、山水、トリオ、ティアック、オンキョー等無数のメーカーがしのぎを削っていた。しかし、今電気屋に並んでいるのは中国をはじめとする輸入品である。

 白物家電は、かつてアメリカのゼネラルやオランダのフィリップスなど欧米のメーカーが先行し、日本が追い付き追い越した形だった。それと同じように中国や韓国、東南アジアの新興国が安い労働力を背景に、かつての日本と同じように追い付き追い越したようにも見える。

 そして、日本は更に高度な半導体技術でリードしたが、現在は台湾や韓国に奪われている。台湾、中国、韓国その他東南アジアの国々の台頭の激しさに日本の存在がかすんできているようにも思える。このまま日本は沈んでしまうのだろうかと心配する向きもあろうかと思う。しかし、私は別の見方をしている。私は日本の技術の底力を信じている。

 私は昨年から六十の手習いでスペイン語の勉強をしている。動機はたわいのない事なので言うに及ばないが、NHKのラジオを毎日聞いている。語学は何度も何度も同じ会話を聞き続ければ自然に覚えられる。それは身に染みているので、電気屋に行って小さなテープレコーダーを買った。所謂「ウォークマン」のようなカセットレコーダーである。

 さて、電気屋で山ほどある製品の中から選ぶのだが、まず価格がべらぼうに安い。昔(40年前)に買った「ウォークマン」は2万円ほどしたと思う。しかし、目の前にある商品は3千円程度からある。「随分安くなった物だ。」と思いながらも最安値の商品は避けて選んだ。

 家に帰って包みを開けた。欲しい電気製品の包みを開けるのは数十年振りである。昔の様な、なけなしの小遣いをはたいて買った感動はなかったが、それでも期待を込めてテープを入れてみる。

「これで毎日店に行く時に聞けばスペイン語も上達するだろう。」

そう思って期待しながらテープを動かした。昔の様に色々な操作ボタンは付いていない。単純な構造なので説明書を読まなくても分かるはずである。

 しかし、おかしなことに気が付いた。録音ボタンがない。このレコーダーは再生専用だった。私が間違ったのが悪かったのか、それでも最近は製品の封を解いても電気屋さんは返品交換に応じてくれる。再び電気屋に行き、訳を話して交換してもらった。

                                   つづく

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