全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅶ-51 日本の職人技のすばらしさ(その4)
今度は録音できる機種と確認して買ってきた。そしてラジオ講座を録音して再生してみた。
「なんだこりゃ」
音質が甚だ悪い。悪いと言うよりもはっきりと聞き取れない。録音方法が悪いのかと思って色々試してみた。
私が子供の頃、ラジオやレコードからテープに録音する時は、スピーカーの前にマイクを置いて録音していた。兄が録音しているのを知らずに脇で騒いだら「うるさい」とひっぱたかれてしまった。
そんな方法も知っているので、色々試してみたが音質は変わらない。そして、レコーダーを弄っているうちに、どうも機械が安っぽい。昔のウォークマンは精密機械の様に、ボタンを押せば正確にぶれずに反応してくれたように思う。しかし、目の前の機械は粗雑で玩具の様にも思えた。
音質に至っては比べるべくもない。若い時には好きな音楽を録音してベルト下げて聞いていた。とてもクリアーな音だった。
要するに私は安物を買ったのだ。五千円程度で高品質のテープレコーダーが買えるはずはない。そう思うしかなかった。しかし、これで私の思索は終わらない。
大枚を叩けば昔あったような上質なカセットテープレコーダーは手に入るのだろうか。どうやらありそうにない。今は録音と言えばICレコーダーの時代である。多くの人はICレコーダーを使っているのだろう。カセットテープに手を出した私が時代遅れ人間だった。
しかし、カセットテープレコーダーは電気店に並んでいる。需要があるのだろう。需要があるにも関わらず高品質な製品は作られていない(のだろう)。問題をまとめると次の様になる。
➀ 現代はICレコーダーの時代で、カセットは極少数派である。
➁ カセットの需要はそれほどない。(とは言え市場に出す程度はある。)
➂ 高品質を求める人はICレコーダーに流れるのでカセットの高品質商品は出ない。
➃ この程度の市場を支配するのは価格が大きな役割を果たす。
➄ 従って価格競争となり安い(低品質)商品が市場を席巻している。
高品質のカセットテープレコーダーは需要もないし作られてもいない。果たして昔作っていたような日本の高品質の技術はどこに行ってしまったのだろう。失われてしまったのだろうか。
つづく