明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-54 「勝者総取り」、呉服業界でも?(その3)

ゆうきくんの言いたい放題

 呉服においてもWEB上で激しい商戦が繰り広げられている。大手の問屋から中小の小売屋まで、その数は星の数ほどあるかもしれない。商品量も多く、検索に良く引っかかる店舗もあるけれども、未だ特定の店舗の寡占化の方向には行っていないように思える。

 アマゾンでも検索すれば呉服物は出て来るけれども、出品されている商品は、呉服専門店では扱わない様な商品ばかりである。

 さて、価格はどうなのかとWEB上の呉服屋の商品を見て見ると、バッタ商品と思えるような非常に安い物もあるかと思えば、こんな高い価格で売れるのかと思える商品もある。呉服に於いては、価格による寡占化は起きていないように思える。

 WEB店舗の中には、低価格を売り物にして売上を伸ばしている店もあるけれども、呉服を求める全ての消費者がそれになびいているとは思えない。呉服の商売の難しさと面白さはここにある。

 品番が特定できる商品は、WEB上で簡単に価格を比較する事ができる。「〇〇社の品番××のエアコン」と言えば、商品を特定してエアコンの価格を比較する事ができる。しかし、呉服の場合、多くは品番などなく、比較のしようがない。

 小物の中には特定できるものもあるが、それは極一部である。半襟の価格を比較はできるけれども、ぺらぺらに薄いのか、しっかりとした塩瀬生地なのか、一巾別織なのか、大幅を裁った物なのかは解説に頼るほかない。自分で見て触って商品を選べない。

 それでも多くの人がWEBで呉服物や小物を購入している。しかし、その延長線上にWEBによる寡占化、一部の業者による総取りがあるとは思えない。

 一口に呉服の消費者といっても様々である。消費者が呉服に求め、期待する物は一様ではない。

 高額な逸品を期待する人もいれば、普段に着物を着る為に数を求めて安価な着物を期待する人もいる。どちらも呉服の愛好者として呉服業界では歓迎するが、彼らが呉服に期待するのはハードだけではない。着物と帯の組み合わせのアドバイスを求める人もいれば、寸法や仕立てに拘る人もいる。

 古着を求める人の中には、非常に安価な古着を次々と購入する人もいる。古着は、どれも自分の寸法とは違っていると思った方が良い。寸法に拘る人にとっては違った寸法の着物を次々に着ると言うのは考えられないが、古着を愛好する人達は違う寸法の着物を上手く着こなしている。

 前項で書いたように、仕立てた着物を大切に仕立て直しながら着る人もいるし、そうでない人もいる。

 まだまだ色々な例があるけれども、着物を求める人が着物や呉服屋に求める物は一様ではなく様々である。それらの人達全てを対象にWEB上の情報で全て応えるのは難しい。アマゾンで扱っている呉服物は呉服屋では扱わない様な、いわば呉服のごくごく一部しか扱っていないのはその為だろう。

 WEBでの呉服販売は、今後益々伸びて寡占化も進むかもしれない。しかし、その枠の外にいる人達が多くいるのも事実である。今後、呉服はWEBで購入する消費者と実店舗で購入する消費者にはっきりと二分されるだろう。

 WEBでの販売は、呉服の性格から言って数社に寡占されることはないだろうし、一社が総取りと言う事もないだろう。しかし、競争は益々激しくなるかもしれない。

 一方、実店舗で呉服を購入する消費者は必ず残る。とは言っても、その数は激減するかもしれない。激減の理由は、WEBに食われてしまう事もあるが、それ以上に呉服の需要自体が益々減るからである。実店舗で商いする呉服屋はまだまだ厳しくなるだろう。

 それでも、実店舗でそれに相応しいサービスを求める消費者は確実に岩盤層として残る。呉服店の行うべき本当のサービスを守って行く事こそこれからの呉服店の使命と思う。

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