明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-53 子供のきもの(その4)

ゆうきくんの言いたい放題

 今出回っている既成の四つ身は、身丈が130cm前後である。標準寸法で言えば、身長が115cm程度の満7歳の女児用である。毎年子供に着物を着せようと思えば、身丈が90cmの一つ身から一足飛びに既成の四つ身と言う訳には行かない。

 やはり昔は、三つ身から四つ身へ。最初は身丈の短い四つ身を仕立て、後に身丈の長い四つ身を仕立てたのだろう。

 私は呉服屋として、子供の着物を扱っている。三歳や七歳の七五三はもちろん、その他の場合でも着物を求めにやって来るお客様に着物を勧めている。

 既成の着物は安価で薦めやすいのだけれども、寸法についてはいつも頭を痛めている。

 子供の既成の着物は三つ身、四つ身であり寸法はみな大体同じである。子供は身長がバラバラで、三つ身、四つ身どちらかがぴったりだとは限らない。

「三つ身だと丁度良いくらいだけれども、少し身長が伸びてしまうと着れなくなってしまう。」
とか、
「三つ身では小さいが四つ身では揚げを大きく採らなければならず、着た時にしっくりこない。」 等。

 子供の着物は、身長が伸びるのに対応して、肩揚げ腰上げで対応して調整する。三つ身でも四つ身でも、小さな子供に着せようとすると揚げが大きくなり、場合によっては二重揚げをしなければならなくなる。

 大人の(女性の)着物であれば、着丈はお端折で調整する。成人女性の身長は大体150~170cmである。20cmの開きがあるが、170cmの人の着物を150cmの女性に着せようとすることはまずない。母親の着物を娘に着せる事はよくあるが、親子の身長の差はせいぜい10cm程度である。10cmの着丈を吸収しようとすれば、お端折を5cm調整する事になる。

 母親が155cm、娘が165cmの場合は腰紐を5cm下にすれば良い。5cmと言うのは大きな数字であるが、着せて着れない事は無いし、見た目は変わらない。

 しかし、子供の場合、3歳の宮参りを考えて見れば、同じ3歳でも3歳になったばかりの子供と4歳直前の子供では約1歳の開きがある。子供にとって人生の開きが三分の一である。伸び盛りの子供にとってこの差は非常に大きい。

 同じ三歳の宮参りでも、身長が80cm~90cmの違いは珍しくない。三歳の子供にとって10cmの違いは大人の20cmにも相当する。子供の身丈を腰上げで調整しようとすると、とても深い腰上げ、または二重揚げを採らなくてはならなくなる。

 三歳の子供に着物らしく着せて差し上げようとするとこのような困難が伴ってしまうのである。

 問題は、既成の三つ身や四つ身の寸法が画一的なことにある。三つ身の身丈が100cm、四つ身の身丈が130cmと決まっているとすると、大きく腰上げを採らなければならない子供がでてくる。

 しかし、様々な身丈寸法の既成の三つ身や四つ身を創るのは難しい。ただでさえ着物の需要が減っている中で、メーカーが数多くの三つ身、四つ身を創る訳には行かないし、小売屋も多くの在庫を持つこともできない。

                              つづく

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