明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-53 子供のきもの(その3)

ゆうきくんの言いたい放題

 さて、七五三の宮参りが終われば、ほとんどの人はもうしばらくは着る事が無くなる。親戚の結婚式などで着る事もあるかもしれないが、子供の場合、身長は日に日に伸びるので半年もすれば身丈が短くなってしまう。そんな場合、宮参りに折角加工した一つ身だけれども、洗って揚げを解き、元通りの一つ身にして保管する事をお勧めしている。

 保管した一つ身が次に必要とされるのは、その子の妹が生まれた時、あるいはご親族で子供が生まれた時に掛け着として宮参りで使う時である。あるいは、また着る機会があったり、ご親族が三歳で宮参りをする時もあるが、その時は改めて身長に合わせて揚げを執らなければならない。つまり、また一から加工しなければならないので元の状態に戻しておくことが一番良い。もしも、親族でも使われなければ、本人の子供(二十数年後かもしれない)に着せる事も考えられる。

 折角用意した一つ身は、末永く着るようにしては如何かと思う。

 一つ身の次は三つ身である。呉服屋さんでは、子供の着物と言えば一つ身、三つ身、四つ身が揃えられている。しかし、昔は、一つ身と三つ身の間に二つ身があったと言う。どのような着物か私は知らない。一度も見たこともない。知っている人がいたら教えていただきたい。

 三つ身は3歳から4歳の着物とされている。今出回っている既製品では、身丈が100cmの物が多い。一つ身の身丈は90cm~100cmなので、身丈はそう変わらない。着物を着る機会が余りない現代は、三歳の宮参りで一つ身を着てしまうと、三つ身の出番が無くなってしまう。昔は、三つ身は四つ身を着るまでの中継ぎとして、寸法ももっと鷹揚に仕立てられたかもしれない。

 三つ身の次は四つ身だけれども、三つ身と四つ身の違いは、寸法の違いではなく、生地の裁ち方による違いである。子供用の着物を仕立てるのに、できるだけ要尺を少なくするために生地の裁ち方を工夫したのだろう。一枚の反物をどれだけ節約して子供の着物を仕立てるかと言う着物のエコな一面がうかがえる。

 実は、四つ身といっても様々な生地の裁ち方がある。四つ身は、三つ身と本裁の着物(大人の着物)の中を取り持つ着物である。歳で言えば、5歳~15歳位まで。個人差もあるけれども、身長で言えば、100cm~150cmまでである。

 手元にある仕立の本を開けば、「小幅物四つ身」「大幅物四つ身」「小幅物長袖引返し四つ身」「小幅物別衿裁ち長袖四つ身」「小幅物本裁ち引き返し大四つ身」等々他にもまだまだある。(私はどれがどれだか分からない)

 要尺は、「小幅物四つ身」で6~8m、「小幅物本裁ち引き返し大四つ身」で12m(1反)である。5歳から15歳位まで、その大きさによって様々な四つ身の仕立て方がある。これらの仕立て方が頭に入っている仕立士には脱帽である。

 名称も七歳用までの四つ身を「四つ身」、それ以上の四つ身を「大四つ身」と区別しているところもある。山形では「大四つ身」を「七九寸(しちくすん)」と呼ぶところもある。

                              つづく

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