明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-53 子供のきもの(その5)

ゆうきくんの言いたい放題

 歳により個人差により背丈の違う幼児子供にとって一様に既成の着物を着せるのには無理がある。理想を言えば、やはりその子供に合った着物を仕立てるのが一番良い。しかし、誂え仕立てをした場合、既成の着物よりも高価になってしまう。「宮参りの時だけしか着ないのだから。」と言う気持ちが既成の着物を選ばせる動機となっているのだろう。それはしょうがないとして、誂え仕立ての着物がどんなものであるかを考えて欲しい。

 七五三用に着物を仕立てる場合、小紋で仕立てるのが一般的である。小紋の中でも「四つ身小紋」と呼ばれる子供柄の小紋がある。色や柄、そして柄の大きさも三つ身や四つ身に適したもので、仕立てれば子供用の着物となる。

 もちろん、四つ身小紋に限った事ではなく、一般の小紋でも可愛らしく、子供のあった物であれば仕立てる事ができる。寸法は子供の身長に合わせて仕立てられるので、腰揚げを二重にする事もなく、ぴったりと可愛らしい三つ身や四つ身に仕立上がる。

 私の店では、このような四つ身小紋の仕立てを勧めている。もちろん無理やり勧めている訳ではないけれども、「本物を着せてやりたい。」「宮参りだけでなく機会があれば着せてあげたい。」「長く着せてやりたい。」と言うようなお客様にはお勧めしている。

「本物を着せてやりたい。」と言う要望には、既製品にはどうしてもコスト意識が付きまとい、創る方では思い切った染物が少なくなっている。以前は、本加賀友禅の一つ身、三つ身や四つ身も見かけたけれども、今は問屋で見かけなくなってしまった。しかし、四つ身小紋も染屋が少なくなっており、良い物を探すのも大変になってきてはいるのだが。

 それでも小紋で仕立てれば、好みの柄の三つ身四つ身を仕立てる事ができる。好みの物が無くても少々時間を頂ければ探すことはできる。

 小紋で仕立てた三つ身四つ身は、「小紋」である。既成の三つ身や四つ身は、柄が絵羽になっており大人の着物で言えば「訪問着」にあたる。訪問着は知っての通り式服である。宮参りや結婚式に着て行くのには良いが、もっとカジュアルに着せようと思うとしっくりこない。カジュアルと言っても普段着ではないが、正月や節句に着せるには小紋の方がぴったりである。絵羽の既成の三つ身四つ身よりも着る機会が多くなる。

 小紋で仕立てた三つ身四つ身の既成品と最も違う点は、その鷹揚さである。誂え仕立ての場合、仕立替えが可能である。三歳の子供は、たちまち成長して背が伸びる。数センチであれば、揚げを降ろして対応できるが、10cmも伸びてしまうと、揚げを降ろすだけでは足りないか、あるいはお仕着せの様になってしまう。

 大人の着物の様に内揚げをしていれば、解いて身長を伸ばすことができる。内揚げが1寸のつまみであれば、延ばせば2寸(約8cm)延ばすことができるが、仕立て様によっては更に延ばすことも可能である。

                              つづく

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