全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅶ-56 コロナ一年、アフターコロナは?(その2)
コロナ禍による未曽有の不況到来で、産業は壊滅的打撃を被っている。飲食業や航空、鉄道は直撃を受けているが、我々小売業も同じである。市民が出歩かなくなり、観光客の人波はぴたりと無くなった。たまに顔を見せてくれる常連客さんもいらっしゃらなくなった。売り上げは激減である。
帳簿を開き、「さて、今期の利益は?」等と考えるのも恐ろしい。しかし、そう言ってはいられない。他の業種、他の店と同じように企業として生き延びなければならない。
企業が生き延びるというのは、資金繰りができることである。赤字になっても資金繰りが付けば企業は生き延びられる。黒字であっても倒産する企業もある。いわゆる黒字倒産である。そうは言っても、黒字赤字と資金繰りは密接にかかわっている。黒字を保って資金繰りを健全化するのが本筋ではあるが、今この状況では、とりあえず資金繰りをつないで生き延びることを考えなければならない。
私は経験したことのない状況に直面したが、まず最初に私を救ってくれたのは政府をはじめとする補助金だった。何をして良いか分からないでいる時に救いの手を差し伸べてくれた。
私の店のような零細な企業にとっては本当にありがたかった。補助金の額は大小企業一律なので、大きな企業にとってはそれ程役に立たなかったかもしれない。
ここで考えさせられたのは、「政府は金があるんだ。」「そんなに金を使って大丈夫なのか。」と言う疑問だった。「赤字国債を減らす」と言って騒いでいる政府がこれ程の財政出動ができる。どこから調達するのかわからないが、確かにそれだけの予算措置ができる程懐が広いかと思ってしまう。
この事を知り合いの銀行員に話したところ、「ああ、あれはそのうち国民から回収するんですよ。」と言っていた。結局そうなのだろうけれども、当座に調達してくれたことは我々零細企業にとってはありがたかった。
次に取り組んだのは、経費の削減である。資金繰りは、出る金と入る金のバランスで決まる。入る金が出る金よりも多ければ資金繰りは保つことができる。入る金は売上である。しかし、売上の増加は差し当たって見込めない。出る金を少なくすることが資金繰りに役立つ。
出る金とは、商社に対する支払、借入金の返済、そして経費である。経費を減らせば出る金を減らすことである。そこで経費削減に努めたのだけれども驚くことが起こった。
経費削減は能動的に工夫を凝らして積極的に行うつもりでいたが、そうこうしているうちに経費は自然に減って行った。
つづく