全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅶ-56 コロナ一年、アフターコロナは?(その6)
1年半以上続くコロナ禍によって、人々の生活は劇的に変化するだろうことはよく言われている。
コロナ禍で最も打撃を受けた業種に旅客業がある。航空会社や鉄道会社である。航空会社の旅客数は、国際線では96%、国内線でも80%の減少。日本航空、全日空共に2000億円~5000億円の赤字が見込まれている。そして多くの社員が出向を命ぜられ何とか生き残りを図っている。
山形新幹線は普通一車両に半分以上の乗客がいたが、コロナの影響で、ひどい時は2~3人しか乗っていない。私は、已むに已まれず半年ぶりに東京に出張したが、やはり乗客は一車両に10~5人だった。
夜の町は言うに及ばず。どの店も四苦八苦している。
航空業界、鉄道会社、飲食業をはじめほとんどの業種がコロナ禍の影響を受けている。それでも皆、補助金などに頼りながら、嵐の過ぎるのをじっと待っている。
しかし、嵐が過ぎ去った後、果たして世の中は元の様になるのだろうか。
コロナ禍が治まれば、海外旅行や国内旅行は元の様に盛んになり、新幹線は旅行やビジネスの客で埋まり、飲食店は常連さんが戻り夜の町は賑わいを取り戻すのだろうか。
こればかりは、コロナ禍が去ってもらわなければ分からないが、少なくとも全く元通りに戻るとは思えない。
これまで盛んに海外に旅行をしていた人達の中には、海外旅行に対して少なからず嫌悪感を抱く人が出て来る。海外旅行客が10%減少しただけでも業界は大打撃である。
豪華客船のクルーズは真っ先に影響を受けるだろう。クルーズ船の場合は、具体的に「コロナの感染を恐れて」と言う理由があるけれども、大きな目で見ればもっと違った意味の心境の変化が消費者には起こっている。
ビジネス環境では、リモートワークやリモート会議が盛んに行われている。自宅にいて仕事をするらしいが、私の様な物売りにとってはピンとこない。それでも息子達やその他若い人を中心にリモートワークをする人たちが沢山いる。会社に出社するのは週に1~2日、半年以上出社していない人も知っている。
そんなリモートワークが定着したおかげで、都心の事務所を撤退あるいは縮小する会社が増えている。それによって家賃の高い都心の事務所の賃料を減らすことができる。その為、都心の空室率が上がっている。
当たり前に考えれば、コロナ禍が治まればリモートワークはなくなり、またビジネスマンは都心に戻ってくるはずである。一度事務所を縮小すれば、元に戻すのは容易でない事を経営者は重々承知である。では何故都心から事務所が逃げ出しているのか。
このコロナ禍の中、今までになかったリモートワークを否応なしに行う内に、仕事に対する価値観が変わったからだろう。即ち、それまでは自宅で会社の仕事をするのは極一部の人に限られていたし、その効果に疑問を持っている経営者が多かっただろう。
しかし、実際に社員がリモートワークをさせると、思った以上の成果が上がる。都心の事務所が不要になり、通勤手当も必要なくなる、と言った今迄は考えもしなかったビジネスの姿に気が付いたのだろう。
これまでは当たり前と思っていたことが、このコロナ禍でひっくり返っている。
つづく