明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-59 アフターコロナ(その3)

ゆうきくんの言いたい放題

 さて、丹後織物、京友禅、西陣いずれも生産数量が押しなべて前年比で30~40%の減少をみている。どんな産業、商売でも売上が前年比30~40%減と言うのは大打撃である。

 巷では飲食店の悲惨な状況が伝えられている。店によっては、売上80~90%減とも伝えられている。廃業する飲食店も多いらしいが、歯を食いしばって頑張っている飲食店も多い。

 補助金、給付金を受けながら時短、リストラ、経費節減とあらゆる努力をして生き残ろうとしている。何とか我慢を重ね、もしもコロナが終息し、日本に元の生活が戻れば飲食店は息を吹き返し、閉店によって穴の開いた隙間に新しい店も出店しかつての賑わいを取り戻すかもしれない。

 しかし、呉服業界はどうだろうか。丹後織物、京友禅、西陣は元通りに息を吹き返すだろうか。

 いずれの産地も職人の技術で支えられている。コロナが無くても年々生産量の減少をみてきた呉服産業では、後継者の育成がままならない。飲食店の調理人は多くの若者がそれを目指している。専門学校も全国各地にあり、需要が増えれば即座にそれに応える人材はいるだろう。

 今日のコロナ禍で、呉服業界の丹後織物、京友禅、西陣をはじめとする産地のメーカー、問屋の中には廃業する店も出ている。廃業したメーカーの職人は職を失う。しかし、職人の多くは高齢者で、もしまた復活して職があっても再度その職人技を振るう人はそう多くないはずである。また、廃業しないまでも事業の縮小によってはじき出される職人も同じ運命をたどる。

 すなわち、飲食業界の再生は比較的容易かも知れないが、呉服業界は修復が困難な状態に追い込まれている。

 先日、久しぶりに京都の問屋さんがやって来た。まだまだ緊急事態宣言の最中だったので、マスクをしてパーテーション越しに短時間話をした。

 相変わらず「京都はコロナで景気が悪い」の話だったが、具体的に織屋さんの話になった。

 私もコロナで出張に行けないので問屋には、
「〇〇の織屋の××と言う帯を送ってください。帯が揃った時、展示会で使わない時があればまとめて送ってください。必要な帯を取って直ぐにお返ししますから。」
と言う風に、具体的に商品を特定し指示して送ってもらっていた。リモート仕入れである。

 西陣の織屋は少なくなったとはいえまだ数多く機を動かしている。しかし、私の店で扱う帯を織っている織屋はそう多くない。店にある帯の織屋はほとんど特定でき、それらの織屋がどんな帯を織っているかも分かっている。そういう意味でリモート仕入れがし易い。

 私は、手元にある西陣織工業組合の「織屋番号一覧」を開いて、仕入れしたい織屋を指さして、「この織屋は今どうしてる?」と聞いて行った。

                                     つづく

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