全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅶ-63 芸者
「芸者」と言う表題でブログを書こうとすると、読者には身構えられるかもしれない。
「ゆうきくんはお大尽なのか、遊び人なのか」と勘違いする人もいるだろう。
今、芸者さん、舞子さんは多くの人に誤解されている。その誤解を解き正しく理解して頂こうと思う。
私と芸者さんの接点は「きもの」であることは言うまでもない。山形の芸者さんたちが全て私の店で着物を作る訳ではないが、時折訪れて足袋を買ったり下着を買ったりして貰っている。
それに加えて山形は料亭・芸者の文化が色濃く残っている。数年前までは山形に6軒の料亭があった。それぞれが歴史ある料亭で、立派な庭のある古い建物である。いずれも明治以前の創業だった。
しかし、残念ながら今は3軒になってしまった。1軒また1軒と暖簾を閉じ、先日コロナの影響に耐え切れずもう1軒の料亭が暖簾を降ろした。料亭の女将さんもお客様なので、商売上も又山形の文化と言う意味でも大変残念だった。
山形では料亭の敷居はそれ程高くない。法事を料亭で行うのも一般的である。また商店街の総会や若い人たちの忘年会も行われている。そしてその場に芸者さん舞子さんが同席するのも珍しくはない。
かつて呉服の商売が今よりも隆盛だった頃、京都の織屋さんや染屋さんが山形にやって来た時に、折角だからと料亭で接待したところ喜ばれたと言うよりも驚かれた。京都からやって来た、と言っても賓客ではない。
「せっかくだから晩飯でも・・・。」
と言って行ったのが料亭である。
すると京都からやって来たその人はとても驚いた。
「こんな処で良いんですか。そんなに接待してもらわなくても・・・。」
こんな処、と言うのは広い庭のある古い料亭で、きれいに掃除された部屋に、立派な軸が掛けてある。運ばれてくる料理はても美味しい。私は折角だからと奮発したつもりで、居酒屋よりも高級だけれどもそれ程高額ではない。
その方は、私の財布を心配したのだろう。酔って話をするうちに、
「京都でこんな料亭に上がれば、〇〇万円はしますよ。」
と言われた。それに私が、
「山形は、その数分の一です。」
と応えると、
「それでは東京から泊りがけで来ても安いですね。」
と感心していた。
料亭の話になってしまったが、料亭と芸者は持ちつ持たれつである。料亭文化の無い処に芸者は育たない。
私は料亭にも出入りして商売もしている。料亭の主人とはなじみであり、自然に料亭・芸者については理解を深める事ができた。
つづく