明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-65 きものと帯の合わせ方(その6)

ゆうきくんの言いたい放題

 帯の場合、形式以外の尺度とは次の様である。

 ➀ 織物は格上、染物は格下
 染物の帯と言えば、染名古屋帯がある。主に紬や小紋に締められる。織物の袋帯や名古屋帯は留袖、訪問着、附下、小紋に締められる。織り方によっては紬にも締められる。稀に染の袋帯も創られているが、極例外的である。

 ➁ 紬は格が低い
➀で「織物は格上」と書いたけれども、紬の織帯は格が低い。紬で袋帯も創られている。しかし、フォーマルな訪問着や付下げには締められない。

 上記二点については、誰でも判断できる。織物と染帯は容易に判断できる。紬かそうでないかは誰でも視認できる。しかし、西陣で織られた袋帯でもフォーマルとカジュアルがあり、織名古屋帯にもフォーマルとカジュアルがある。それらにはどのような違いがあり、どうして見分けたら良いのだろう。 

 我々呉服屋が問屋さんや織屋さんに行って仕入れをする時に、次のような会話をする。
「今日はフォーマルの袋帯を探しに来たのだけれども何か良い帯ありますか。」
「はい、ちょうど織り上がったばかりのがあります。これはどうですか。」
「う~ん、それはちょっと重すぎるな。もう少し軽いのはないですか。」
「光りすぎますか。それではこちらの帯はどうですか。唐織の重い物です。」 
「柄がフォーマルで良いですね。」
「それと、カジュアルな名古屋帯を探しているのですが。」
「紬用ですか。縮緬の染帯ではどうですか。」
「いえ、紬や普段着の小紋に締める織帯が欲しいんです。」
「そうすると、柄が軽くて光らない物ですね。」
「紹巴の名古屋帯ではどうでしょうか。少々重みもあって普段着のおしゃれには良いでしょう。」
何か禅問答のようで、何が何だか分からないかもしれないが、この会話の中にはフォーマルとカジュアルのキーワードが含まれている。会話の中に有る次の言葉がキーワードである。「重い・軽い」「光る」「柄」「縮緬」「紹巴」                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      他にも帯の格に関わるキーワードは沢山あるが、とりあえずこれらのキーワードを解説する。

【重い・軽い】
 重い、軽いと言うのは帯の重さではなく、見た目に重く感じるかどうかである。振袖や留袖に締めている帯を見ると、とても重く感じられるだろう。余り軽い(あっさりとした)帯は振袖や留袖には合わないのは分かっていただけると思う。

【光る】
 この言葉は、きものや帯の格を見極めるのにとても有用である。光る物の代表と言えば金である。きものや帯には、金箔や金糸が使われる。金箔を置いたり織り込んだり、また金糸で刺繍が施される。佐賀錦は金箔を引いた紙を横糸に使用される。
 金が多用された着物や帯は普段着には使われないし、普段着には見えないだろう。紬に金は用いない。(用いている紬もあるが、私は趣味が良くないと思っている。) また、「光る」のは金に限らず銀もある。その他「光る」着物や帯のほとんどがフォーマル向けのものである

                                        つづく

着物のことならなんでもお問い合わせください。

line

TEL.023-623-0466

営業時間/10:00~19:00 定休日/第2、第4木曜日

メールでのお問い合わせはこちら